Letter

遺伝:麹菌のゲノム塩基配列解読と解析

Nature 438, 7071 doi: 10.1038/nature04300

日本の伝統的な発酵食品と飲料の生産にとって重要な菌類であるコウジカビ(Aspergillus oryzae、麹菌)のゲノム塩基配列が解読された。麹菌が大量のタンパク質分泌能力を持つこと、また形質転換系が開発されたことにより、現代のバイオテクノロジー分野でも麹菌の利用が進んでいる。麹菌とAspergillus flavusは、いずれもAspergillus属のCircumdati亜属Flavi節に属するが、麹菌はA. flavusとは異なってアフラトキシンを産出せず、その安全性は食品産業に用いられてきた長い歴史が証明している。本論文では、麹菌の37メガベース(Mb)のゲノムに12,074個の遺伝子が含まれ、Aspergillus nidulansおよびAspergillus fumigatusのゲノムと比較して7〜9 Mb伸長していることを示す。3種のアスペルギルス属菌における比較では、麹菌のゲノム全体にわたり、シンテニーを持つ領域と麹菌に特異的な領域(A.nidulansおよびA.fumigatusとのシンテニーを喪失)がモザイク状となって存在することが示された。麹菌に特異的な塩基配列領域は代謝に関与する遺伝子に富み、特に二次代謝産物の合成に関与するものが多く存在する。分泌型の加水分解酵素、アミノ酸代謝およびアミノ酸または糖を取り込む輸送体の遺伝子が特異的に増強されていることは、麹菌が発酵にとって理想的な微生物であるという考えを裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度