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遺伝:ヒトインフルエンザウイルスの大規模な塩基配列決定によってウイルスゲノムの進化が非常に動的であることがわかる

Nature 437, 7062 doi: 10.1038/nature04239

インフルエンザウイルスは、ヒト集団で長期にわたって生き延びることを極めて巧みにやってのける。ヒトのA型インフルエンザウイルスは、ワクチン接種が広く行われている集団の中でも増え続け、依然として病気や死亡の主な原因の1つとなっている。ウイルスは毎年変異するため、既存のワクチンが無効になることが繰り返され、新しいウイルス株を選んで新しくワクチンを作る必要が生じる。頻度は少ないものの、抗原不連続変異と呼ばれる大きな変異が起こると、ヒト集団がほとんど感染防御免疫力を持たない新しいウイルス株が生じ、世界的な大流行を引き起こす。最近の大流行には、1918年の「スペイン」風邪(有史以来最も多くの死者を出した大流行の1つで、世界での死者は3000万〜5000万に達する)、1957年の「アジア」風邪、1968年の「香港」風邪などがある。インフルエンザの進化をより深く理解する必要にうながされて、我々は柔軟性の高いプロトコルを開発した。これにより、大規模な塩基配列決定の手法を非常に変化しやすいインフルエンザウイルスゲノムにも適用できる。本論文では、ヒトA型インフルエンザウイルス209例の完全ゲノム解読を行った結果(全部で282万1103塩基)を報告する。一般に公開されたインフルエンザの完全ゲノムの数を大幅に増やしただけでなく、これらの初めて発表された209ゲノムには、インフルエンザの伝染と進化が動的であることを示すいくつかの異形があることもわかった。今回の大規模な塩基配列決定からは、インフルエンザウイルスの進化とヒトや動物の集団間でのインフルエンザウイルスの伝染パターンについて、より包括的な知見が得られるだろう。今回の研究で得られたデータはすべて、公的なデータベースに速やかに登録されつつある。

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