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地球下部マントル内のマグネシオヴスタイトにおける鉄のスピン遷移

Nature 436, 7049 doi: 10.1038/fake136

"鉄はマントル内で最も豊富に存在する遷移金属元素であり、したがって地球内部の化学的性質と力学的性質に重要な役割を担っている。圧力で誘発される鉄の電子スピン遷移は、マグネシオヴスタイト、ケイ酸塩ペロブスカイト、およびポストペロブスカイトで起きる。本論文では、マグネシオヴスタイト中の鉄のスピン状態とマグネシオヴスタイトの弾性に対して電子遷移が及ぼす特異な効果を、最下部マントルの圧力条件におけるin situX線放射分光とX線回折により調べた。マグネシオヴスタイト中の鉄の高スピン状態から低スピン状態への遷移を観測した結果、高スピン状態と低スピン状態の間で異常な圧縮的ふるまいが見られることが分かった。高圧における低スピン状態は、低圧における高スピン状態よりもかなり高い体積弾性率とバルク音速を示す。(Mg0.83,Fe0.17)Oの遷移の前後で、体積弾性率は約35パーセント、バルク音速は約15パーセント増加する。電子遷移の前後で顕著な密度変化は観測されないが、遷移の前後で音波速度と体積弾性率が急激に変化することから、最下部マントルにおける地震波速度の不均質性に対して補足的な説明が得られる。この遷移は、電子遷移の効果を考えずに外挿あるいは計算した熱力学状態方程式のデータを用いた地球物理学的および地球化学的モデルの現行の解釈にも影響を与える。"

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