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発生:COUP-TFII転写因子によるNotchシグナル伝達の抑制は静脈の分化を制御する

Nature 435, 7038 doi: 10.1038/nature03511

動脈と静脈は、解剖学的、機能的に、また分子レベルでも異なっている。動脈と静脈の独自性の維持に関して現在考えられているモデルでは、血管内皮成長因子(VEGF)がそのヘテロ二量体受容体(Flk1 とニューロピリン1(NP1またはNrp1)からなる)へ結合することによって、内皮でNotchシグナル伝達経路が活性化され、これがエフリン B2の発現誘導とエフリン受容体B4の発現抑制を引き起こし、動脈の独自性を樹立する。静脈ではNotchシグナルが活性化されないことから、静脈の分化についてはエフリン受容体B4が関与すること以外はあまりわかっていない。つまり、どのようにして静脈の分化が制御されるのかという問題は未解決のままである。本研究では、オーファン核受容体スーパーファミリーに属するCOUP-TFII(Nr2f2としても知られる)が、静脈内皮で特異的に発現し、動脈内皮では発現しないことを示す。内皮細胞のCOUP-TFIIを除去すると、静脈が動脈の特性を獲得できるようになり、動脈のマーカーであるNP-1や Notchシグナル分子の発現および造血細胞のクラスター形成が起こる。さらに、内皮細胞でCOUP-TFIIを異所的に発現させると、トランスジェニックマウスの胚で静脈と動脈の融合を引き起こす。したがって、COUP-TFIIはNotchシグナル伝達を抑制して、静脈の特性を維持するのに重要な役割を持っており、このことから静脈の独自性はデフォルト的に得られるのでなく、遺伝的に制御されていると考えられる。

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