Review Article

気候:約8,200年前の急激な寒冷事象に伴う百年規模の気候寒冷化

Nature 434, 7036 doi: 10.1038/nature03421

現在の間氷期、すなわち完新世における気候変動の程度は、いまだに論争の的である。中部グリーンランド氷床コアから得られる温度の記録は、8,200年前から8,100年前までの間にかなり大きな温度異常が一度起こったことを示しており、その原因は、北大西洋への融解水の流出と北大西洋深層水形成の減速にしばしば帰せられている。この異常によって、北大西洋の現在の淡水化と温度異常との関連を研究できる。地球の各所から得られた気候代用記録にみられる異常は、グリーンランドでのこの激変との相関が見られることが多い。しかし、これらの記録の多くに見られる異常は400年間から600年間にわたっており、約8,600年前に始まり、完新世において繰り返し起こるパターンの一部分を形成している。約8,200年前のさらに急激な気候変化は、この長期間の寒冷化に重なって現れている。これらのシグナルの複合的な性質は、約8,200年前の遠く離れた地点での気候異常は、北大西洋深層水形成の減速による影響の評価に直接的には使えないこと、また、8,200年前の急速な寒冷化事象の地理的な範囲は未確定であることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度