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遺伝:Silicibacter pomeroyiのゲノム配列からわかる海洋環境への適応

Nature 432, 7019 doi: 10.1038/nature03170

原核生物は海洋食物網の不可欠な成分であると認められており、そのため細菌プランクトンは海洋中の主要な生物地球化学的反応過程のほとんどで触媒的に働くと考えられている。しかし、従属栄養性細菌プランクトンは、主要なクレードのほとんどが培養されたことがない、あるいは海水中でも低濃度にしかならないことから、その研究は困難であった。本論文では、海洋に生息する細菌Roseobacterクレードに属するSilicibacter pomeroyiのゲノム配列を報告する。Roseobacterの仲間は、沿岸と外洋の混合層中に生息する細菌プランクトンの約10〜20%を占めている。従属栄養性の主要クレード中で初めて決定されたこのゲノムは、1本の染色体(4,109,442bp)と1個のメガプラスミド(491,611 bp)からなる。ゲノム解析から、この生物が無機化合物(一酸化炭素や硫化物)を従属栄養の補いとする、無機従属栄養型の戦略をとることが示される。Silicibacter pomeroyiはまた、プランクトンや浮遊粒子との共生に都合のよい遺伝子も持っており、それらには藻類由来化合物の取り込み、還元性微小環境由来代謝物の利用、迅速な成長と細胞密度依存的調節などにかかわるものが含まれる。この細菌は海洋性低栄養細菌とは異なる生理学的性質を示し、栄養の乏しい海洋で生存するための、今まで知られていなかった戦略が今回明らかになった。

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