Letter

公衆衛生:1918年に世界的に流行したインフルエンザの感染力

Nature 432, 7019 doi: 10.1038/nature03063

1918年のインフルエンザ大流行は全世界で2,000万〜4,000万人の命を奪い、大流行対策計画における最悪のシナリオの1つだとみなされている。他の大流行したインフルエンザ株と同様にこの1918 A/H1N1株はきわめて急速に広がった。感染力の尺度であり、発生流行阻止に必要な対策の厳重度の尺度ともなるのが増殖率で、これは一次患者1名あたりの二次患者の数である。今回我々は、決定論的なSEIR(susceptible-exposed-infectious-recovered)モデルを、米国の45の都市から得た肺炎およびインフルエンザによる死亡数曲線に適合させることで、1918年のインフルエンザについて増殖率の算定値を得、中央値は3未満となった。1918年9月までにA/H1N1に免疫をもった集団の算定比率からみると、基本増殖率の中央値は4未満となる。これらの結果は、1918年に大流行したインフルエンザの増殖率が他の多くの感染症と比べて大きくないことを強く示唆している。理論的には、1918年と同じようなインフルエンザの新規サブタイプが出れば抑制は可能である。しかし、インフルエンザは診断で病名を特定できる以前に感染してしまうことが多く、抗ウイルス薬やワクチンの備蓄は世界的に欠乏しているので、おそらく積極的な感染抑制策が必要と思われる。

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