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細胞:Seladin-1による発癌ストレスと酸化ストレスに対する細胞応答の調節

Nature 432, 7017 doi: 10.1038/nature03173

哺乳類の初代細胞を癌細胞に形質転換させるには、複数の癌遺伝子の発現と癌抑制因子の不活性化が必要である。通常、活性化Ha-RasV12(Ras)は癌と関連しているが、また活性酸素種を誘導し、癌抑制因子p53およびp16INK4aを蓄積させることにより、癌とは矛盾する成熟前老化も初代細胞に惹起する。本論文では、直接遺伝子選別を行うことにより、Seladin-1Dhcr24としても知られている)がRas誘導性老化の鍵となる媒介物であることを明らかにする。発癌ストレスと酸化ストレスに引き続いて、Seladin-1がp53のアミノ末端に結合し、p53からE3ユビキチンリガーゼMdm2を取り除き、その結果、p53が蓄積することになる。さらに、Seladin-1はp53とは無関係にMdm2と会合し、Mdm2の他の標的に対しても影響を与える可能性がある。Seladin-1が欠失すると、齧歯類およびヒトの線維芽細胞において、Ras誘導性の老化が回避され、Rasによるこれらの細胞の形質転換が引き起こされる。野生型のSeladin-1は、p53またはMdm2のいずれとも会合できない変異体とは異なり、形質転換された表現型を抑制する。またこの変異体は、p53依存性の、酸化ストレスに対する応答を誘導する活性ももたない。これらの結果は、これまではアルツハイマー病とコレステロール代謝にかかわるとされてきたSeladin-1が、発癌ストレスと酸化ストレスに対する細胞応答にかかわっているという予期しなかった役割を有することを示している。

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