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生化学:プロテインホスファターゼ1調節の構造基盤

Nature 429, 6993 doi: 10.1038/nature02582

セリン/トレオニン(Ser/Thr)プロテインキナーゼとホスファターゼの協調する作用と相反する作用によって一時的なリン酸化が起こる。これは、多くの生物学的過程の調節における基本的機構となっている。ヒトゲノムにコードされているSer/Thrプロテインキナーゼの数は、プロテインホスファターゼの数に比べてはるかに多い。とくにプロテインホスファターゼ1(PP1)は、普遍的に分布し、グリコーゲン代謝、細胞周期の進行、筋肉の弛緩など、幅広い範囲の細胞機能を調節している。PP1は効率のよい触媒機構を進化させてきたが、基質特異性を欠いている。基質特異性は多数の調節サブユニットとの相互作用を介してPP1にもたらされる。調節サブユニットは基本的に似ていないが、大半が標準的なPP1結合配列であるRVxFモチーフを有する。今回我々は、PP1とミオシンホスファターゼターゲティングサブユニットMYPT1の34kDaのN末端ドメインとの複合体の結晶構造を、2.7Åの分解能で明らかにする。MYPT1は平滑筋弛緩においてPP1の機能を調節するタンパク質である。MYPT1のRVxFモチーフのアミノ末端側とカルボキシ末端側に位置する構造要素は、PP1の溝状の触媒部位の形が著しく変わるような配置になっており、複合体のミオシン特異性を大きく上昇させている。この構造から得られる知見は、他の調節サブユニットによるPP1活性の調節にも通用すると考えられる。

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