Letter

物理:トップクォーク質量の精密測定

Nature 429, 6992 doi: 10.1038/nature02589

素粒子物理の標準模型には、粒子の質量のような、起源が依然として分かっておらず予測もできないパラメーターがいくつか含まれており、それらの値は相互作用を通じて範囲が制限されている。特に、トップクォークの質量(Mt)とWボソンの質量(MW)は長い間仮説のままで未だ観測されていないヒッグスボソンの質量の範囲を制限している。従って、Mtを高い精度で測定すれば、ヒッグス粒子はどこを探せばいいのか、そして、実際に標準模型のヒッグス粒子仮説が実験データと矛盾しないのかどうか知ることができる。トップクォークは対となって生成され、わずか約10-24秒でさまざまな終状態へと崩壊するため、崩壊生成粒子からその質量を再構成することは非常に難しい課題である。本論文では、各トップクォーク事象からより多くの情報を引き出し、今までの測定に比べて大きく改善された精度(±5.3GeV/c2)が得られる手法を報告する。この新しい結果を我々が既に報告した相補的崩壊モードの測定結果や入手可能な別の唯一の測定結果と組合せると、Mtの新しい世界平均は178.0±4.3 GeV/c2になる。その結果、ヒッグス質量の最も確からしい値は、実験によって排除された96 GeV/c2から117 GeV/c2へと大きくなった。これは現在の実験感度を超えている。信頼水準95%でヒッグス質量の上限は219 GeV/c2から251 GeV/c2に上がった。

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