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遺伝:チンパンジー22番染色体のDNA塩基配列とその比較解析

Nature 429, 6990 doi: 10.1038/nature02564

高度に発達した認知機能や二足歩行、複雑な言語の使用などといったヒトの特性の獲得に関与した遺伝的変化を絞り込むには、ヒトとチンパンジーについての比較ゲノム研究が基本的な役割を果たす。今回我々は、チンパンジー22番染色体、33.3メガ塩基の高精度DNA塩基配列を完成したので報告する。これに対応するヒト21番染色体の全塩基配列と比較したところ、1塩基置換が全染色体配列の1.44%に見られ、68,000ヶ所に近い挿入/欠失部位を含むことがわかった。これだけの相違があれば、ほとんどのタンパク質に違いを生じさせるのに十分である。実際、機能的に重要な遺伝子を含む231のタンパクコード配列のうち、83%にアミノ酸配列レベルでの違いがあった。さらに我々は、レトロトランスポゾンの特定のサブファミリーが系統間で異なる広がり方をしていることを示した。これはレトロ転移がヒトとチンパンジーの進化に異なる影響を及ぼしてきたことを示唆するものである。種分化後に起こったゲノムの構造変化とそれが及ぼす生物学的影響は、当初考えられていたよりも複雑らしい。

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