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遺伝:極小単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolae 10Dのゲノム配列

Nature 428, 6983 doi: 10.1038/nature02398

極小単細胞藻類の小さくコンパクトなゲノムは、高等植物をはじめとする光合成真核生物の生命の維持に基本的かつ必須な遺伝子に関する情報を提供する。本論文では、最初の完全な藻類ゲノムとして、単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolae 10Dの、20本の染色体からなる16,520,305塩基対の配列を報告する。このゲノムには合計5,331個の遺伝子が含まれ、そのうち少なくとも86.3%が発現していた。ゲノム構造にみられるユニークな特徴としては、イントロンが26個の遺伝子にしか存在しないこと、核小体を維持するリボソームDNAユニットが3コピーしかないこと、ダイナミン遺伝子が2個しかなく、それぞれミトコンドリアと色素体の分裂のみに関与することなどが挙げられる。この紅藻のカルビン回路関連酵素に関して、緑色植物と共通して、原始のモザイク状態が保存されていることは、色素体の一次内部共生が1度のみ起きたという仮説を支持する。ミオシン遺伝子が存在せず、またアクチン遺伝子が発現していないという事実は、より単純な細胞質分裂のシステムの存在を示唆している。以上の結果は、C.merolaeのゲノムが、真核細胞の起源、進化、および基本的な機構を研究する上で、単純な遺伝子組成を持ったモデル系となることを意味する。

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