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細胞:Bcl-2の主要切断点領域における非B型DNA構造はRAG複合体によって切断される

Nature 428, 6978 doi: 10.1038/nature02355

生物の体細胞で自然に生じる染色体転座の原因はほとんど分かっていないが、これまで提案された機構では、いずれの場合も二本鎖DNAの切断が必要とされる。ヒトの癌に最も多く見られる染色体異常は14番染色体と18番染色体間での相互転座(t(14;18))で、濾胞性リンパ腫でおこる。14番染色体の免疫グロブリン重鎖遺伝子座での切断は、正常なV(D)J組換えを妨げる。しかし、18番染色体の切断はBcl-2遺伝子の150塩基の領域(主要切断点領域、Mbr)に限られて起こるが、その理由は分かっていない。我々は、ヒト細胞で増殖するエピソーム上に、この転座過程の重要な特徴を再現した。通常V、D、J分節のDNAを切断する酵素であるRAG複合体は、in vitroin vivo両方で、染色体転座の際のパターンを踏襲しながら、Bcl-2のMbrに切れ目をつくる。しかしMbrはV(D)J組換えシグナルではない。むしろ、Bcl-2Mbrはヒト細胞の染色体の20〜30%の対立遺伝子中で非B型のDNA構造を取っている。この構造をとっている精製DNAには安定な一本鎖領域が含まれ、これは患者で転座が起こった領域とよく一致している。したがって、ヒトゲノムに生じた安定な非B型DNAがどうやらBcl-2Mbrの脆弱性の原因であるらしく、RAG複合体はこの構造を切断できる。

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