Nature Careers 特集記事

研究者の仕事は量だけでなく質についても調査の必要あり

2008年4月17日

Gene Russo
Naturejobs editor

Nature 452, 777 (9 April 2008) | 10.1038/nj7188-777a

先月、米国立科学財団(NFS)により、アメリカの科学者とエンジニアの失業率は1990年代初頭以来、最も低い水準にあるとの発表がなされた。しかし、そうした仕事の質に関する動向、さらには仕事に従事する人の満足度となると、意外にも正しく評価するのが難しいようである。

全体的に、科学者とエンジニアの失業率は、2003年には3.2%だったのが、2006年には2.5%に低下している。一般的には、保持する学位が高ければ高いほど失業率は低い。2006年の博士号保持者の失業率はわずか1.6%であるのに対し、学士号保持者の失業率は2.9%に上っている。一方、科学者とエンジニアの総数(最低、学士号を持つ者)は、4.5%、つまり、ほぼ100万人増加している。

しかし、注意すべき点として、NSFの1月以降の統計値によると、学術界に従事し、諸手当を支給されることのないパートタイマーが増加していることが挙げられる。教員外職員に分類されている被雇用者数(常勤および非常勤の兼任教員、講師、研究員、管理者、ポスドク)は、1993年から2006年にかけて85%増加し76,600人になったが、常勤教員の職はわずか15%しか増えていない。学術界では、常勤教員職に科学や工学の博士号保持者が占める割合は、1970年代初頭には88%だったのが、2006年には72%まで低下している。多くの常勤教員職の科学者、とくに生物医学研究者は、逼迫している連邦の科学予算のおかげで、研究どころではなく、グラント申請書の作成に追われるありさまである。

その一方で、ポスドクとして活動する科学者やエンジニアが増えている。先月発表されたNSFの数値によると、1995年には41%だったのが、2006年には45%に増加している。ポスドクを選んだのは「追加トレーニング」のためだと、3分の1の科学者やエンジニアは言うが、とくに生命科学の分野では、学術界では他にほとんど職がないからだ、という声も多く聞かれる。

これらの数値からは、仕事の満足度を取り巻く問題のほんの一部しか垣間見ることができず、科学や工学の仕事では、量だけでなく質についてもさらに調査する必要があろう。

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