注目の論文

【考古学】新石器時代に行われていたウシの頭蓋手術

Scientific Reports

2018年4月20日

Archaeology: Evidence of cranial surgery in a Stone Age cow

新石器時代遺跡(紀元前3400~3000年)で発見されたウシのほぼ完全な頭蓋骨の分析が行われ、ウシの頭蓋手術が行われた可能性が示唆されていることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、動物の外科的実験が行われていたことを示す最古の証拠となる可能性がある。

ヒトの歴史において頭蓋手術の最古の証拠は中石器時代(紀元前約1万~2700年)のもので、穿頭術(頭蓋骨の層に穿孔、切断、または削り取りによって穴を開ける手術)の証拠の残る最古のヒト頭蓋骨は、過去に用いられた技術に似た技術が使用されたことを示唆している。

今回、Fernando Ramirez RozziとAlain Fromentは、シャンデュラン(フランス)の新石器時代遺跡で発見されたウシの頭蓋骨を分析した。右前頭葉の骨に穴が開いていたが、頭部の強打と一致する骨折や破片は見つからなかった。そのため、別のウシの角で突かれた跡とも考えられた。しかし、この穴の断面がほぼ正方形であること、外部の力による圧力を示す痕跡がないこと、穴の周囲に切り痕があることから、この穴の原因が外科的処置であった可能性が示唆される。また、治癒の証拠が見つかっていないことから、この外科的処置がウシの死体を使って行われたか、処置中にウシが死んだことが示唆されている。

doi: 10.1038/s41598-018-23914-1

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度