細胞生物学:細胞の生物学的特性を細かく調べる
細胞構造や細胞内分子の働きを解明するには、生物学や生化学だけでなく、今やナノテクノロジーの最先端技術も必要とされている。ヘイリー・M・バーチとジュリー・クレイトンが報告する
細胞が働く仕組みの複雑な部分にさらに深く立ち入ろうと熱心に研究を続ける細胞生物学者は、ナノ時代の幕開けにより、数々の全く新しいツールを手にした。細胞生物学者は、その研究領域を絶えず押し広げ、研究の重心をミクロからナノあるいはナノ以下のレベルに移しつつある。そのためには、生物学に限らず、物理学や材料科学、工学の要素も利用した創造的な方法を見つける必要性がますます高まっている。細胞のさらなる解明を目指して、生物物理学、ナノテクノロジー、ナノファブリケーション、電気工学の研究者が協力して研究を進めている。
ナノトポグラフィー
何が細胞を動かしているのかを知る上で、細胞内部の仕組みを理解することと同様に、細胞の外部環境を理解することが重要である。高度なナノパターニング技術やナノトポグラフィー技術を利用できるようになり、さまざまな物質を使って表面をナノスケールでエッチングやコーティングできるようになったことで、細胞生物学者は、従来のガラス製やポリスチレン製の培養皿を使った細胞培養実験と比べて細胞応答をより正確に理解し、制御できるようになっている。伸展、移動、接着といった細胞の挙動を探索するために特に設計された、さまざまな基質構造が現在開発段階にある(「三次元細胞培養」、「1つの文字まで正確に」参照)。

この研究分野は生まれて日が浅いため、ほとんどの研究チームは、それぞれ独自にナノパターン化した基質を開発して、細胞を培養している。コロンビア大学(米国ニューヨーク)のMichael Sheetzは、細胞生物学者、システム生物学者、ナノファブリケーションの研究者と共同でナノパターニング法の開発を行っている。「間隔の異なる分子のアレイを作り、それを使って細胞の応答を調べていますが、この間隔がとても重要なことがわかりました」とSheetzは説明する。現在、彼の研究チームは、ナノパターニングを利用して、基質表面上のタンパク質リガンドの間隔が、タリンのような二量体タンパク質の結合にとってどれほど重要なのかを調べている。
現在のところ、Sheetzを始め、数多くの研究者は自作の装置を使っているが、その一方で開発メーカーがビジネスチャンスを感じ始めている。BioForce Nanoscience社(米国アイオワ州エームズ)は、表面上の決めた位置にナノメートル分解能で分子をスポットでき、この他にも培養面上にあらかじめ決めておいたパターンで細胞外基質タンパク質をスポットするといった数々のオプションのある『Nano eNabler』という装置を開発した。この装置の極めて重要な特徴の1つは、直径が最大100マイクロメートルから、細胞よりも小さい最小2マイクロメートルまでのスポットが可能な点である。「細胞が一度に多くのスポットと相互作用できるので、研究者は、たとえば2種類のタンパク質から選べるような状態を作り出した場合に細胞がどの程度の応答を示すのか、といった複雑度の高い実験課題を設定することができます」。こう語るのは、同社のプロダクトマネージャーMichael Lynchだ。このような細かな制御は、マイクロ流体カンチレバーを使って行われ、決められた領域のエッチングが施された表面上に液体を流し込むようになっている。
『Nano eNabler』は、当初、標識せずにタンパク質、DNA、RNAの間の相互作用を調べられる装置として、バイオセンサー市場向けに開発された。しかし、ここ1年間は、ナノパターンを利用した細胞培養にこの装置を使いたいという研究者からの引き合いが増えている。現在は、10組以上の研究グループが、この種の研究(ニューロン研究を含む)にこの装置がどれほど役立つのかを調べているところだ。
将来は、細胞生物学者が既製品のナノパターンではなく、自分自身でナノパターンをデザインできる装置を使うことを望むようになるとLynchは予想している。「数多くの異なった研究課題があるために、1つのパターンやチップ、細胞培養基質に絞り込むことが難しくなっています。マイクロアレイのように受託サービスが発達したような標準的な分野ではないのです」。(Lynch)
2つの世界の衝突
共焦点顕微鏡を使う細胞生物学者と電子顕微鏡を使う細胞生物学者は、最近まで2つの全く異なる世界に住んでいた。共焦点顕微鏡では美しいテクニカラーの映像が見られるが、電子顕微鏡では白黒のスチール写真しか見られない。いずれの顕微鏡でも細胞の画像は得られるが、いずれの研究者も、望んだ結果のすべてを得ることはできなかった。
共焦点顕微鏡の問題点は分解能の低さで、この点を犠牲にしなければ、生きた細胞の挙動を記録できない。一方、電子顕微鏡の場合、必要とされる分解能は達成されているが、何らかの興味深いプロセスにある細胞を撮影できる可能性は非常に少ない。
しかし、とうとう2つの世界が徐々に歩み寄るようになり、驚くほど単純な新技術によって光-電子相関顕微鏡が開発された。Leica Microsystems社(オーストリア・ウィーン)のマーケティングマネージャーIan Lams-woodは、マックス・プランク細胞生物学研究所(ドイツ・ドレスデン)のPaul Verkadeの研究チームからアプローチを受けた時の様子を次のように語っている。「彼らは、共焦点顕微鏡で観察した細胞を電子顕微鏡でも観察したい、と言いました。基本的には細胞を静止させて、同じタンパク質が合成される様子を2つの顕微鏡で同時に観察することを望んでいたのです」。
現在はブリストル大学(英国)で電子顕微鏡を研究するVerkadeは次のように当時を回想している。「蛍光顕微鏡と電子顕微鏡を組み合わせた顕微鏡を使ってみたい、と記された論文をNature Cell Biology誌で読んだのです。それは本当に奇妙な偶然でした。私たちが、その研究をしていたわけですから。もちろんそうとは言えませんでしたが」。この彼の発明は、現在Leica社が『Rapid Transfer System(RTS)』として発売しているが、共焦点顕微鏡で観察した試料を数秒以内に高圧冷凍装置に移し、電子顕微鏡での観察のために準備するというものである。RTSは、同社の高圧冷凍装置『EM PACT』の付属装置として設計された。そこに組み込まれたのが、生きた試料を共焦点顕微鏡の下部に固定し、観察後、直ちに高速冷凍装置に移送し、電子顕微鏡での観察に使えるような試料に調製するための高速ローダーだった。共焦点顕微鏡を使えば、興味深い細胞事象を特定でき、高速冷凍装置を使えば、極度の超微細構造体を特定の瞬間で保存できる。これによって研究者は、既知の細胞活動のスナップショットが得られる。RTSシステムを使った場合、光学顕微鏡から電子顕微鏡観察のための細胞固定までの移送時間が、従来の約1分から5秒未満にまで短縮される。電子顕微鏡で観察される細胞の状態は、共焦点顕微鏡で観察した時と同じだが、分解能が相当に上がる。「この装置は、電子顕微鏡のための標準的な固定に最適という長所もあります」とVerkadeは指摘する。
研究者によっては、原子間力顕微鏡と蛍光顕微鏡の組み合わせこそが最も魅力的な新展開と言える。Veeco社(米国ニューヨーク州ウッドベリー)は、原子間力顕微鏡と倒立光学顕微鏡または倒立共焦点顕微鏡を組み合わせて、原子間力顕微鏡の高分解能画像を蛍光顕微鏡で補完する『BioScope II』を開発した。『BioScope II』は同社の従来機種を進化させた顕微鏡で、研究者は付属の新しいソフトウェアを使うことで柔軟性と制御性の向上を享受する。
ペンシルベニア大学(米国フィラデルフィア)のDennis Discherの研究チームは、『BioScope II』を使い、さまざまなタイプの基質での幹細胞の分化を調べている。特に彼らは、分化のさまざまな段階で細胞骨格の剛性と微小環境内での機械的変化を評価することを目指している。原子間力顕微鏡は、走査型電子顕微鏡のように高精度のトポグラフィー情報(高さ、長さ、形状といった情報で、Discherは「blobology」と呼んでいる)が得られる。しかし電子顕微鏡と異なり、原子間力顕微鏡では生きた細胞を観察できる。この特徴と蛍光顕微鏡を組み合わせることで、原子間力顕微鏡で観察されたさまざまな構造体を同定すると同時に追跡調査できるようになる。緑色蛍光タンパク質で標識されたタンパク質を発現する細胞が、その一例である。
「細胞や単離された分子や複合体について、たとえば加圧試験のように力学的特性を調べることができますが、これは電子顕微鏡ではできません。それに試料を薬剤処理した後で押したり、突っついたりすることでリモデリングの特性も解析できます。このようなことが蛍光画像処理の前後、そして処理の途中で行うことができるのです」とDischerは話す。
JPK Instruments社(ドイツ・ベルリン)も新型の原子間力顕微鏡装置『NanoWizardII BioAFM』を発売している。この装置は、Carl Zeiss社(ドイツ・イエナ)製の『LSM 510』などの共焦点レーザースキャン顕微鏡や、同社の『Axiovert 200』などの倒立光学顕微鏡に取り付けることができる。これを使えば、原子間力顕微鏡によって特定の領域を高分解能でスキャンし、または蛍光画像処理をする前に、広い視野の中で目的の細胞の位置を特定できる。またJPK Instruments社は、細胞培養容器(『JPK BioCell』)を発売しており、この容器を使えば、観察時に細胞を37℃の緩衝液または細胞培養液中に保存できる。原子間力顕微鏡のチップにはリガンドを塗布することができ、あるいは原子間力顕微鏡チップを使って細胞を機械的に突いて、その後の生化学反応を蛍光観察できる。
JPK社のソフトウェア『DirectOverlay』には、さまざまなタイプの画像を統合して、蛍光画像を細胞の三次元投影像に正確に重ね合わせることのできるキャリブレーション機能が含まれている。この技術は、細胞の伸展や接着過程における細胞骨格の役割の研究に特に適している。Asylum Research社(米国カリフォルニア州サンタバーバラ)も共焦点顕微鏡との統合で原子間力顕微鏡の性能を改善したメーカーで、nAmbition社(ドイツ・ドレスデン)は自動原子間力分光法のための装置を発売している。
ナノマニピュレーション
マックス・プランク細胞生物学研究所のIva Tolic-Norrelykkeたちは、観察から直接的な細胞操作へ一歩踏み出し、光学メーカー最大手のOlympus社(ドイツ・ハンブルク)とオプトエレクトロニクスのPicoQuant社(同・ベルリン)と提携して、共焦点顕微鏡とピコ秒(10ミ12秒)パルスダイオードレーザーカッターを組み合わせて細胞内構造体を操作し、同時に結果を見ることのできる製品を発売した。「レーザー切断はこれまでにも行われていますが、他の種類の顕微鏡に紫外線レーザーを使ったものがほとんどでした。この新しいピコ秒レーザーは単純かつ低コストで、紫外線よりも波長が長く、パルスが短いため、発生する損傷の程度が少なくてすみます」とTolic-Nソrrelykkeは説明する。彼女は、この装置を使って、微小管が細胞小器官の位置を維持する能力に対するレーザー切断の効果を調べている。
Tolic-Nソrrelykkeは、この組み合わせの考え方をさらに一歩進め、二光子顕微鏡とフェムト秒(10ミ15秒)パルスレーザーを組み合わせて、蛍光画像処理とレーザー切断をできるようにし、さらに連続レーザーを付加した。今のところは実験段階であり、商業化されていない。このレーザーは光ピンセットの役割を果たし、微細な物体を捕まえて、取り除くことができる。(二光子顕微鏡は、蛍光顕微鏡の一種で、生きた組織の画像を深さ1ミリメートルの地点まで生成でき、漂白作用と光損傷が少ない。)彼女の研究チームは、この組み合わせを利用することで、たとえば細胞骨格の小さな部分を特異的に破壊してから、光ピンセットを使って細胞核を動かし、その後、細胞骨格が作用して、細胞核が細胞の中心部分の正しい位置に復帰する過程を観察した。
このマックス・プランク研究所のチームは、Zeiss、浜松ホトニクス、Thorlabsといったメーカー製の標準的な市販品を使って、実験系を組み立てた。「それぞれの技術は、10〜20年前から存在していますが、私たちが最適な状態に改良し、組み合わせて1つの系にしました」とTolic-Nソrrelykkeは話す。
今後、光ピンセットは、細胞全体あるいは細胞内構造体を操作するためのツールとして、今以上に高度化する可能性が高い。これを可能にしているのが、光ピンセットレーザーを複数のビームに分割して、それぞれが1つの構造体の動きを個別的に指揮できるようにするためのホログラムの利用である。徐々に位置が変わる一連のホログラムを投影することで、一連の光パターンが生成され、それを使って複数の物体を三次元的に移動させるのである。それはまるで踊りのアニメのように見える、とニューヨーク大学(米国)で物理学を研究するDavid Grierは説明する。Grierは、この構想の下に、企業分割によって新会社Arryxを米国イリノイ州シカゴに設立した。そして『BioRyx 200』という装置が開発された。この装置には、数々の用途があり、たとえば大きさ、形状と組成による細胞の選別、癌細胞と非癌細胞の分別、ウイルスと細菌の識別などがある。
ソフトウェアとフォトニクスが進歩すると、ホログラムによって制御された光トラップが、今後10〜20年間で、細胞内構造体を操作する技術として重要なものとなる。このように予測するのは、ブリストル大学内に新設されたナノ科学研究センターに所属する生物学者のDaniel Robertと物理学者のMervyn Milesだ。RobertとMilesは、グラスゴー大学のMiles Padgettとの共同研究で、「ハプティクス」(コンピュータで追跡管理される手の動き)を利用して、光トラップの動きにより物体を操作する技術を探究している(R. Webb, Nature 444, 1017; 2006参照)。
以上のような展開は、細胞生物学者が別の視点を持つ上で役立つだろう。「マイクロスケールやナノスケールの生物学では生物の持つ機械的側面について、その潜在性が十分に解明されているとは言えません。これを実現するための新しいツールが数多く発売されました」とRobertは言う。
ナノプローブ
ナノテクノロジーは、単一分子に焦点を当てて研究したいと考える生物学者にとっても便利な技術となっている。量子ドットや多彩な色を発する半導体結晶などのナノプローブは、細胞のスパイとして機能し、目的の分子の動きを追跡調査する。研究者は、ナノプローブを使うことで、細胞内事象を驚くほど詳細な画像で記録できるのである。
このような高分解能を達成するためのカメラワークには、高度な画像処理ソリューションが必要となる。共焦点顕微鏡の場合、蛍光光源から発する光子の大部分が除外され、ピクセルに落ちる光子100個あたり、少なくとも2個は失われる。電荷結合素子(CCD)画像検出器は、より多くの光子をとらえ、電子に転換することで、この低レベルの「量子収率」を改善している。しかし本当に必要なのは、シグナルをバッククラウンドノイズ以上のレベルに増幅する方法なのである。Andor社(英国ベルファスト)の市場開発マネージャーのColin Coatesは、電子増倍CCD(EMCCD)が標準的なCCDをどのように改善したのかを次のように説明している。「これは、背の高い草地に隠されたものを探すことに似ています。EMCCDの場合、光子の損失が起こらないように高レベルの増幅が行われるのです」。
この技術のパイオニアであるAndor社は、現在、単一分子の動態を研究するためのEMCCDカメラのシリーズを発売している。マックス・プランク細胞生物学遺伝学研究所(ドイツ・ドレスデン)のStefan Diezは、Andor社の『iXon EMCCD』を直径10〜20ナノメートルの量子ドットプローブと組み合わせて使用し、微小管上を移動するモータータンパク質を観察している。
Diezは、観察だけでは満足できず、モータータンパク質の力を利用して、高度に特異的な操作(単一のDNA分子やDNAネットワークの伸長を含む)を行っている。「まるでボディーサーフィンのように、微小管がキネシンモーターの表面をすべるように移動するのです。微小管と結合したDNAを動かしているのは、キネシンモーターの力です」。(Diez)この種の操作が非常に有効なのは、それが細胞自体の機構を利用しているからだ、とDiezは説明する。「これは、実は、ナノテクノロジーが生物学の進展に役立っているという事例ではなく、ナノテクノロジーの改善に生物学が利用されている好例なのです」。(Diez)
これらの操作により、DNAのメカニクスやDNA-酵素相互関係の解明が進む可能性があり、その一方で、分子によるナノエレクトロニクス回路の製造に生体モーターを使用することの潜在的な可能性が実証されるかもしれない。
一般的な生化学研究では、細胞を破壊して中身を抽出し、目的の反応を調べ、多くの場合には細胞の活動を同期化させて、同じ状態にある十分に高い濃度の目的分子を得ている。しかし今や、少数の先駆的な研究者グループのおかげで、生きた細胞に含まれる個々のタンパク質やDNA分子あるいはRNA分子をリアルタイムで研究し、その相互作用や反応速度をナノメートルスケールの空間精度やミリ秒の時間分解能で追跡調査できるようになっているのである。

1つずつ
ハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)に所属する化学生物学者のSunney Xieと彼の研究チームは、個々のタンパク質分子の発現を観察する方法を開発した。同チームは、この技術について細菌細胞を使った検証をすませ、現在は、哺乳類の細胞を使って実験を行っている。この方法は、遺伝子あたり数コピーといった具合にコピー数の少ない発現をするタンパク質の検出に役立つ。このようなタンパク質の一例が転写因子で、従来のプロテオミクスの手法では検出ができなかった。

単一分子法の大きな利点は、個々の細胞内で合成過程にある個々のタンパク質を検出できる点である。Xieが開発した技術の1つは、急速成熟型の黄色蛍光タンパク質『Venus』を使って遺伝的に標識されたタンパク質の発現を検出する技術である。このタンパク質の出現は、定量可能な一連の蛍光バーストとして観察でき、転写と翻訳が起きていることを示している。

蛍光標識したタンパク質と細胞内の固定化因子との急速な結合と解離、そして細胞質における蛍光タンパク質の相互関係は、小刻みな閃光によって観察できる。「弾丸がリンゴを貫通する様子を示した画像のように、細胞質内の蛍光タンパク質を検出できるのです。それにパルス幅を調節すれば、タンパク質の動態と現在位置も判定できるようになります」とXieは言う。
Xieのポスドク研究員Nir Friedmanによれば、この技術は、ハイスループットなシステムへの拡張可能性がある。「たくさんの区画のある大型チップに細胞を入れれば、このような測定を大量に行えると思います」とFriedmanは話す。
機能不詳のタンパク質の発現を検出するための蛍光タンパク質を融合させたDNAライブラリの作製も考えられる。「特異的なターゲティングを行う必要はありますが、生きた細胞のリアルタイム観察が単一分子の感度でできるというメリットがあります」とFriedmanは付言する。
ナノテクノロジーは、多数の画期的な新技術という遺産を細胞生物学の分野に永久にとどめる運命にあるように思われる。新しい方法で既存の技術を組み合わせ、そして新たな技術を開発しようとする作業が継続する中で、ナノスケールの細胞操作によって新たな知見が得られる可能性が急激に高まっている。ナノパターニングとナノトポグラフィーは、少数の専門家によってのみ実施されている技術だが、装置とソフトウェアは市販が急速に進んでいる。ナノテクノロジーの利用積極化というトレンドが、細胞生物学の境界線そのものを押し広げているのである。 ■
ヘイリー・M・バーチとジュリー・クレイトンは、ブリストル(英国)を活動拠点とするサイエンスライターである。
