HIGHLIGHTS
中性の検証
原子の電荷は本当にゼロなのだろうか。標準模型を超えて物理を研究するいくつかの理論的なシナリオでは、それが当然とは認められないことが示唆されている。そこでA Arvanitakiらは、原子(および中性子)が電気的に中性であることの検証を提案している。彼らは、電荷を10−28eのレベルで検知できる装置について述べている。この方法は、現在の最もすぐれた検証法よりも感度が8桁高い。
Arvanitakiらが提案した実験は、冷却されたルビジウム原子のビームを利用したもので、ビームは一連のレーザーパルスによって分けられて、異なるモーメントをもつ2つの状態の重ね合わせになる。この原子ビームが飛行通路(高さ10 mの装置が現在建設中である)を通って発射されると、2つの成分は異なる軌道を描き、異なる強さの電場との相互作用が可能となる。したがって、速い原子と遅い原子の波動関数が受ける位相シフトが異なり、原子の電荷がゼロでなければ、軌道が再度重なったときに位相差を検知できる。
ループ量子宇宙論におけるインフレーション
宇宙の歴史の初期における指数関数的に膨張するインフレーション期は、これまで収集された宇宙マイクロ波背景放射のデータによって裏付けられているようである。そして、インフレーションを弦理論の洗練された枠組みに結びつける研究が進められている。しかしE J Copelandらは、一般相対性理論と量子力学を調和させる別の方法、つまりループ量子重力理論に基づいた系統的論述であるループ量子宇宙論の概念の中で、インフレーションがどのように存在するかを検討している。
Copelandらの分析は、「スーパーインフレーション」期つまりループ量子宇宙論において確実に生ずる、ハッブル・パラメーターが(「普通の」インフレーションでのようにほぼ一定を保つのではなく)急速に増大する期間と、そこから生じた可能性があるスカラー摂動に重点を置く。この計算では、一組の新たな「fast-roll」パラメーターを展開し、スーパーインフレーションの数個の「e-fold」値(体積がe倍に増加する時間)のみが必要であることが示唆される。この結果は、これまでの取り組みで指摘された問題点の反証となる。
過去から学ぶ
イースター島の人口は、西暦400年頃にやってきた数十名の最初の入植者から、最盛期には数千人にまで達した。巨大な彫像モアイで知られる高度に発達した文明は、1600年までに崩壊した。人口動態をモデル化することはいかなる社会においても複雑な作業だが、イースター島は隔離されていたため、M Bologna と J C Floresにとってよい出発点となった。
これは過剰な資源開発の典型的な事例である。イースター島の住人にとって、ヤシは主要な資源であった。ヤシは、かつては島全体に生い茂っていたが、人口が激減するのとほぼ同時に絶滅してしまった。ヤシは、調理用燃料や、あの重い彫像を移動するのに必要とした道具などの道具類や漁船、そして土壌浸食対策用の柵の原材料を供給していた。
BolognaとFloresによる単純なモデルは、人口動態の本質をとらえている。彼らの計算した長期にわたる住民数と資源量は、考古学的データと一致している。さらに彼らのモデルは、ホンジュラスのコパンにあるマヤ文明に関しても崩壊の正確な時期を算出している。
磁性細菌のコバルトドーピング
走磁性細菌には、マグネタイトのナノ粒子を合成する意外な能力があり、これによってこの細菌は環境磁場に対して反応できる。これらナノ粒子の純度、大きさ、形状の均一性、そして固有の生物学的適合性が、薬物送達から磁気記録メディアまでさまざまな用途に有用となる可能性があると示唆されている。しかし、そのような用途を開発するには、その特性をさらに調整できることが望ましい。
この目的を達成するため、S Stanilandらは、3つの異なる系統の磁性細菌Magnetospirillumに強制的にコバルトを与えることにより、これらのナノ粒子にin vivoでドープすることを試みた。マグネタイトはすべての酸化鉄中で最も高い飽和磁場をもつが、軟磁性である。Stanilandらは、細菌の培地のキナ酸鉄をキナ酸コバルトに置き換えることで、生成されるナノ粒子の磁気硬度の尺度である保磁力を、最大45%増やすことに成功した。
グラフェンナノリボン
グラフェンの特異な特性は、大きな可能性と大きな困難の両方を引き起こすものだ。単一層としては、その電荷担体が質量の無い相対論的粒子のふるまいを模倣し、これは高速電子デバイスを作るのに潜在的に有用な特性である。しかし2次元シートとしては、グラフェンはバンドギャップがなく、電荷担体の制御が困難になる。
X Liらは、この問題を解決できる可能性のある方法を報告している。彼らはグラフェンを、わずか10ナノメーター幅のリボン状にして生産する化学的方法を開発した。この「ナノリボン」形状では、グラフェンにバンドギャップができる。Liらはこれを利用して、室温で最大107のオン/オフ比をもつ電界効果トランジスタを作った。
さらに、この研究によって、カーボンナノチューブに対するグラフェンの基本的な利点である半導体特性の一貫性が実証された。ナノチューブは半導体型と金属型の両方ができるが、一方だけを優先的に生成する確実な方法はいまのところない。対照的に、Liらが調べたナノリボンはすべて一様に半導体であった。
