HIGHLIGHTS
リッピングとゆらぎ
パイオニア・アノマリーの原因を探る
「パイオニア・アノマリー」はいまだ解決されていない。宇宙機の打ち上げから35年が経過し数十億マイルを旅したが、パイオニア10号とパイオニア11号の奇妙な減速の原因はまだわかっていない。ガスもれや熱的な効果といったありふれたものがその説明となるかもしれないが、新たな物理的過程がその原因である可能性は否定されていない。
太陽系外縁部の重力源について議論がなされている。外惑星(天王星、海王星、冥王星)の軌道についてはあまりよくわかっておらず、そのような重力源がパイオニアに影響を及ぼしている可能性があると考える者もいるが、反論する者もいる。K Tangenは今回、非測地線運動の影響について検討した。パイオニアの飛行が通常仮定されているような測地線運動でないとすると、太陽系外縁部の重力源か重力場の長距離でのずれが妥当な原因なのかもしれない。
パイオニアのデータの詳細な再分析が継続される中で、論争は進行している。そうしている間も、地球からのメッセージを運ぶパイオニア10号と11号は旅を続けている。
ガンマ線背景放射のゆらぎ
地球大気の上の宇宙では、多くのガンマ線が飛び交っている。我々の銀河とその外側には高エネルギー光子の発生源が多数あり、そのため、1970年代から知られている、むらのない宇宙ガンマ線背景放射の起源を決定する試みが難しくなっている。可能性のある発生源として、宇宙線電子との衝突(逆コンプトン散乱)によって加速された宇宙マイクロ波背景放射からの光子が挙げられる。宇宙線電子自体は銀河団のまわりの構造衝撃内で加速される。また、動力源として超大質量ブラックホールをもつ活発な活動銀河核であるブレーザーも発生源である可能性がある。さらに問題を複雑にしているのは、ブレーザーは光度変動が大きく、コンパクトであるにもかかわらず極めて遠距離にあるために解像が難しいことである。
2つのガンマ線源を区別するため、F Miniatiらは、角度強度のゆらぎをモデル化した。計算されたパワー・スペクトルはさまざまなレベルのゆらぎを示したが、2008年に打ち上げられることになっている宇宙望遠鏡GLASTに搭載される大面積望遠鏡によって解明されるであろう。さらに、GLAST(写真は組み立て中のGLAST)を使用した観測により、銀河系外と銀河系内のガンマ線を識別することができ、おそらく新しいガンマ線源が発見されるであろう。
フリッピング伝導
常識的には、絶縁粒子を導電性の乏しい液体に加えた場合、粒子がイオンの自由運動を妨害するため、懸濁液の導電率は減少すると考えられる。実際に、土からヒト組織までさまざまな複合材料の分析において使用されるインピーダンス法の信頼性は、この仮定に基づいている。しかし、N Pannacciらの研究によると、この常識が誤っている可能性がある。
十分に強い電場では、粒子と可動イオンの衝突により粒子が電気的に分極し、一方の側面に正の電荷が蓄積し他方の側面に負の電荷が蓄積する場合がある。物質の条件を適切に設定した場合、この蓄積によって粒子が自発的に回転する。これは、クインケの回転と呼ばれる現象で、邪魔物のない拡散のみよりもより効率的に電荷をある場所から別の場所へ輸送する基本原理となり、純粋な液体よりも導電率が大きくなる可能性がある。
熱を収穫する
低電力電子デバイスのエネルギー効率が向上し、このようなデバイスに熱だけで動力を供給できる可能性が示唆されるようになった。これを行う最も一般的なシステムは、いわゆるゼーベック効果により温度勾配に応じて電圧を発生させる熱電材料を利用するものである。しかし、このデバイスが有効に機能するためには大きな温度勾配が必要であり、その場合でも、所定の熱流から生み出すことができる最大電力の熱力学的限界に近づくことはない。
M Ujiharaらは、根本的に異なる方法を利用するデバイスを提案した。彼らのデバイスは、2つの板バネの間にはめ込まれた軟らかい磁石を使用する。これは二次相転移を経るときに激しく膨張・収縮し、熱源と冷源の間を行き来する。Ujiharaらは、生成された力学的エネルギーを従来の圧電材料を使用して電気に変換することによって、市販の熱電素子と同様の性能で熱を収穫できると示唆している。
すごい分子
同じ質量の4つの粒子からなる分子を何と呼ぶか。答えは、「di-positronium」(Ps2)である。J Wheelerは、1946年の論文「Polyelectrons」において、各々が電子と陽電子からなるPs原子2個が結合する可能性について検討した。しかし、今になって初めて、そのような分子が生成されるようになった。これはD CassidyとA Millsが報告した功績である。
CassidyとMillsは、まず捕獲した陽電子を多孔性シリカ薄膜に埋め込んだ。すると、陽電子の約10%が電子を捕捉してPs原子を形成した。次に、Ps原子は薄膜内を拡散し、60ナノ秒の寿命中に約10,000個の細孔に入り込み、2個のPs原子が出会う確率は10%であった。その間、シリカ壁は運動量を保存してPs2分子を形成するために必要な第三の物体として働いた。
CassidyとMillsは、実験で約100,000個のPs2分子を生み出した。より強力な陽電子線源を使用すれば、ボーズ-アインシュタイン凝縮が生じると予想されるPs密度を達成できると彼らは期待している。
