HIGHLIGHTS

泡と水しぶき

進化のモデル

c the light

進化は、DNA複製の際の突然変異、つまりコピーエラーによって進む。しかし、細菌のような単純な生物では、ある個体から子孫ではない別の個体に遺伝物質を伝達することによって、遺伝子コードが進化する可能性もある。2005年、Cohen、Kessler、Levineは、そのような遺伝子の「水平」伝達とその結果生じる吸収個体のDNAと遺伝物質の「再結合」が進化速度に著しい影響を及ぼし、進化を大いに促進することを示した。

この研究は、有限集団を対象に有限時間間隔で行われた。今回J-M ParkとW M Deemは、これを拡大して、無限時間、無限ゲノム長、無限集団で効率的に分析した研究結果について報告している。彼らは、2成分の場の理論を使用して相図を作成し、複製率ごとの選択相と未選択相を描出した。この結果から、穏やかな複製率については、平均「適応度」に対する突然変異と水平伝達の寄与は同程度であると予測される。

安全にデータを送る方法

内緒でメッセージを送りたいなら、おおっぴらにするのが得策かもしれない。これが、B WuとE Narimanovが達した結論である。彼らは、信号を通信路のバックグラウンドノイズで隠すことによって公的な光ファイバーネットワークで安全な通信を行える見込みのあるプロトコルの機密保護能力を分析した。その結果、符号化したメッセージの送信に公衆回線を選択することにより、保護された送信が行われていることを盗聴者が知ったとしても、保護されたデータを盗みとる機会を減少させうることがわかった。

WuとNarimanovが最近提案した「ステルスプロトコル」においては、適切に作成した秘密のメッセージは、送信に使用されるファイバーのノイズレベルより低い平均電力で送信される。類似した方法は以前にも試みられたが、公衆網を使用しそのスペクトルを模倣することにより、攻撃に対する特別なセキュリティ層が得られるように思われる。これにより、既存の光ネットワークを使用して安全な通信を行う新たな道が開かれるかもしれない。

証明完了

1960年代初頭、E GrossとL Pitaevskiiは外部ポテンシャル内で相互作用するボース粒子気体を記述する枠組みを発表した。現在この研究には、ボース・アインシュタイン凝縮体を実験的に探求できるという新たな関心が寄せられている。しかし、この理論の基礎となる仮定は、これまで気体の基底状態についてのみ検証されている。しかし、L Erdosらは理論によって予測された力学的性質に注目し、有名なGross-Pitaevskii方程式がボース・アインシュタイン凝縮体が閉じ込められ、続いて開放される際の時間発展を確かに記述することを数学的に厳密に証明した。

Gross-Pitaevskiiの理論では、大きなスケールではたった1つの軌道関数のN個のコピーの積によってN個のボース粒子でできた気体の状態が得られる。つまり、N体波動関数は因数分解できるように思われる。しかし実際には、短いスケールでの多体効果によって、無視できない粒子対間の相関が生じる。Erdosらは、このいわゆる2スケール構造は、厳密に第1原理から得られることを示した。

宇宙の水しぶき

c the light

1969年7月20日の最初の月面着陸の最終段階で、アポロ11号の月着陸船「イーグル」に搭載した燃料のスロッシングが引き起こした振動による困難が生じた。ほかの宇宙飛行でも同じ問題に苦しめられたが、宇宙船が液体を多く搭載するにしたがって問題はますます大きくなっている。しかし、微小重力条件下での液体動力学はいまだ完全には解明されておらず、精密なモデルと専用の実験が必要である。

このようなギャップを埋めるため、「Sloshsat FLEVO」とよばれる小型の衛星が2005年2月12日に打ち上げられた。重量は128.5 kgであり、そのうち33.5 kgが蒸留水で、86.9リットルのタンク内で自由に動くことができる。衛星はスラスターを12機搭載し、スラスターによって衛星を飛び回らせて水のスロッシングを起こす。A E P Veldmanらは、今回初めてSloshsat FLEVOのデータと数値シミュレーションを比較した結果を報告しているが、よい一致を示している。

泡の役割

明るい銀河団は高温プラズマで包まれている。熱エネルギーはX線によって運び去られるが、それが銀河形成における密度条件と温度条件の手がかりとなる。しかし、流体力学的安定性を保つためには、X線放射による放射冷却は何らかの加熱メカニズムとつり合っていなければならない。A Sternberg、F Pizzolato、N Sokerは、銀河団間の媒体を加熱する際の泡の役割を調べた。

泡は、X線ではなく電波を放出している。したがって、磁場だけでなく相対論的な電子や陽子を含んでいると考えられる。通常、泡はブラックホールが存在する銀河団の中心からの強いジェットによって対になって膨張する。最大の泡の対は中心がくっついた球状で、砂時計の形をしている。


Extra navigation

.
ADVERTISEMENT