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静かな夜

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いびきを止めるのに鼻バンドや就寝前のハチミツなど、妻や夫からありとあらゆるものを勧められたかも知れませんが、効果がありましたか。

Z S Liuらは、「閉塞型睡眠時無呼吸症候群」について新たに定量的な解明を進めた(Journal of Biomechanics doi:; 2006)。この研究によって、静かな夜がもたらされるかもしれない。

Liuらは、ヒト頭部の三次元有限要素モデルを開発し、圧力負荷に応答する組織振動を分析した。その結果、既にいびきの主原因であることが有力視されている軟口蓋が10~60Hzのいびきの周波数域全体で最も強い音源であることが確認された。さらに、舌は約20Hzでのみ音源の一端を担うが、これに対して硬口蓋は「いびき溜」の役割をすることがわかった。

今回のモデルは現時点ではやや大雑把であるが、いびきをかく人の解剖学的データを使用してさらに発展させることができるとLiuらは期待している。いびきのメカニズムを解明することによって、頭部にあるいびきの発生源の励起を抑制できるようになるかもしれない。つまり、長い間苦しんできた妻や夫がついに安眠できるようになるかもしれないのです。

非磁性スピン偏極

ナノワイヤーやナノチューブといった1次元弾道伝導体のコンダクタンスの基本単位(2e2/h)は、上向きスピン電子と下向きスピン電子が等しく寄与することから成り立っている。

通常は、これらの2つの成分を分離するためには磁場が必要である。磁場がない場合は、2つのスピン状態のエネルギーは等しい。しかし、R Crookらによれば、必ずしもそうとは限らない(Science 213, 1359-1362; 2006)。

Crookらは、GaAsベースの2次元電子系に静電気的にパターンをつけた1次元チャンネルについて、ゼロ磁場でのコンダクタンス特性においてコンダクタンスの基本単位のちょうど1/2のところにプラトーを観察した。このことから、チャンネル内の電子が自発的にスピン偏極することが示唆される。通常のスピン縮退を解く磁場を使用せずにスピン偏極電流を発生できるため、新しい分野であるスピントロニクスにおいて役立つことになるかもしれない。

重力波の同時観測

連星系内の中性子星がらせんを描いて互いに近づき合体する時に発生すると考えられている重力波の探索が始まった。

地球上の2台の干渉計LIGOとTAMA300による最新の結果は、インスパイラル期の連星系からの重力波の発生率に対する新たな制限を与えるが、これらの実験で得られたデータを組み合わせた分析は先駆けとなる(B. Abbottet al. Phys. Rev. D 73, 102002; 2006)。

TAMA300は東京に設置された300mの干渉計である。米国を拠点とするLIGOネットワークは、ルイジアナ州に設置された4kmの検出器およびワシントン州に設置された4kmと2kmの検出器で構成されている。2つの施設のデータから同時に発生した信号を探し出すことにより誤検出率が減少する。また、天空の観測可能範囲が広くなり重力波の発生源を特定する機会も増える。さらに、LIGO干渉計のうち1台のみが稼働中であればよいことから、観測時間が長くなる。

LIGOとTAMA300が与える「天の河相当の銀河当たり」のインスパイラル期の中性子星の数の上限(信頼水準90%)は年間49個であり、これは個別のデータセットに基づいてLIGO単独で定められた上限と同程度である。現在、2台の別の干渉計、ドイツのGEO 600とイタリアのVirgoを使用した同時観測が計画されている。

反発し合うカップル

我々は、引力が粒子を互いに束縛し、斥力が引き離すと予想するが、K Winklerらは、この直観が誤解を招く可能性を示した(Nature 441, 853–856; 2006)。

自由空間では2つの原子は互いに反発し合うものであるが、Winklerらは三次元の光格子の中にルビジウム原子を閉じ込めて、原子のペアが安定した複合体を形成し得ることを発見した。

このようなふるまいを理解するカギは、光格子の1つの部位に集められた粒子は、ばらばらの原子のエネルギーより高い位置エネルギーを運動エネルギーに変換できない、つまり原子ペアの崩壊を導く過程が成立しないということである。その代わり、格子の中で位置を変えても原子ペアが分離することはない。

通常の固体では、反発しあう原子ペアの過剰エネルギーは格子振動によって急速に散逸し、原子ペアは不安定になる。Winklerらは、斥力によって束縛された原子ペアが実験的に実現したことは、他のエキゾチックな多体状態や量子位相の探求の出発点となると期待している。

冷蔵庫へのランダムウォーク

熱ゆらぎは通常、低温で小さな物体を測定する場合には邪魔である。 しかし、C van den BroeckとR Kawaiは、その利用法を発見した。彼らは冷却メカニズムとして熱ゆらぎを利用することを提案している(Phys. Rev. Lett. 96, 210601; 2006)。

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van den BroeckとKawaiによる冷凍法の概念は、上下に仕切られたタンクの上側にある矢じりに似た三角形のウェッジと下側のタンクにあるこれに堅く連結したフラットパドルで構成されるブラウンモーターをベースにしている。ウェッジとパドルは一体となって水平に動く。粒子はパドルにランダムに衝突するが、上側のタンクでは、運動量はウェッジによって非対称に散逸する。正味の運動量は矢じりの方向に運動を引き起こす。

外力がこの方向に反してこのブラウンモーターを移動させると、系はこれを相殺するように反応する(ルシャトリエ・ブラウンの原理)。言いかえれば、この系は上側のタンクからの熱流を誘起して、下側のタンクの温度を上げ、上側のタンクを冷却する。van den BroeckとKawaiは、直径0.1μmの水タンク(これは脂質二分子膜内の分子には十分な体積である)では毎分1°C冷却されると算定している。


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