HIGHLIGHTS
巨大な火の玉!
ELI JERBY
1982年8月3日(火曜日)、ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所に落雷があった。深刻な被害はなかったが、B. Pippard卿によれば、一階にいた助手が「明るく光る物体に驚いた。頭の傍の[小さな窓]から入ってきて、機器にぶつかってはね返され、来た方向に戻って行った」とのことである(Nature 298, 702; 1982)。
この例の他にもこれまで多くの報告があったが、「球電」現象はほとんど神話の出来事であった。しかしV. DikhtyarとE. Jerbyが工業用の「マイクロ波ドリル」によって発生した火の玉の挙動を実証したことで説明できるようになった(Phys. Rev. Lett. 96, 045002; 2006)。
球電の中で最も複雑な特徴のうちの2つ、最初のエネルギー源が絶たれても存続し続け、空中に浮く、という現象を火の玉(写真)は再現している。これは、普通の落雷のようなエネルギー現象によって生じた雲の中の粒子が酸化することによって球電が発生する可能性があるという既説を裏付けている。
カラー効果
Wボゾンの質量は、OPALの共同研究によると80.415±0.042±0.030±0.009 GeVである(Eur. Phys. J. C 45, 307-335; 2006)。CERNの大型電子・陽電子加速器(LEP)による4つの実験の1つであるOPALは、素粒子物理学におけるこの基本量の最終測定を初めて行ったものである。
2000年に終了したLEPで得られたデータから、(その他のボソン(ヒッグズ)の質量を制約する正確な推測値を検証するため)直接測定によってWボゾンの質量を求めることが難しいことが示されている。OPALが示した最初の誤差は統計である。第3の誤差は、27kmのLEPリングにおける電子・陽電子衝突の重心エネルギーにおける不確実性を反映している。
その他の系統的誤差は、予測し得る検出器効果に加えて「カラーつなぎかえ」などの最終状態相互作用が原因のものもある。これは、160 GeV以上の電子対消滅により生成された各Wボゾンが1対のクォークに崩壊する場合に生じる。クォーク間のカラー力によりグルーオン交換が生じる場合がある、これは効果的に情報をぼかす「つなぎかえ」であり、Wボゾンの質量が再構成される。残念ながら、LEPデータには「つなぎかえ」が起こったことを示す確固たる証拠はないが、他の装置では確認されているので、その影響はWボゾンの質量の誤差において考慮に入れなければならない。
4ストロークで動き出す
4サイクルは燃焼機関の中で最も一般的に用いられるシーケンスである。V. Balzaniらは、現在同じ様なリズムで動く長さわずか5ナノメートルほどの人工分子モーターを提示している(Proc. Natl Acad. Sci. USA 103, 1178-1183; 2006)。
バルブやピストンを動かす代わりに、4ストロークナノモーターはダンベル型の構造を取り囲むリングが1.3nm離れた2箇所の間を前後に動くロタキサン分子である。往復運動は光励起によって引き起こされる。サイクルの終わりに、最初の形状は回復される。また、プロセスは再スタートできる。これらの実験では、モーターは周波数1,000Hzで1,000サイクル以上を安定して動いた、1分子当たり約10-17Wの電力を生成した。
日光は単独のエネルギー源として利用できるので、ナノモーターに当たっている限り、廃棄物を出さずに自律的に動き続ける。
原子核ハローは電荷半径を変える
1980年代に、11Li核は9Liを核としてその軌道を回る2つの中性子からなる「ハロー」を持つことが発見された。それ以来他の原子核でもハローが発見されたが、核内の3つの陽子の分布など、11Liの構造の多くの詳細は完全には理解されていない。今回R. Sanchezらは、中性の11Li原子における2s-3s遷移の頻度を測定し、結果を理論および他の同位元素のデータと比較することによってこの原子核の電荷半径を決定した(Phys. Rev. Lett. 96, 033002; 2006)。
本実験において測定されたほとんどの同位体シフトは原子核の質量の差から生じるが、量子効果や相対論的効果だけでなく体積および陽子分布の変化も原因となっている。これら全てを考慮した場合、11Liの電荷半径は2.467 fmであることがわかる。これは、9Li(2.217 fm)より大きく、6Li(2.517 fm)より小さい。この結果は、ハロー中性子はたとえ原子核を結合させる強い力の及ぶ範囲外で半分以上時間を過ごしても核を励起し電荷半径を変え得ることを示唆している。
小さな世界の誘導
REPRINTED WITH PERMISSION.
COPYRIGHT (2006) ACS.
複雑な三次元構造は、多光子吸収重合(multiphoton absorption polymerization; MAP)によってマイクロスケールで作ることが可能である。この方法では、レーザー光線は「光重合開始剤」を含む樹脂に集中的に照射され、2個以上の光子が1点に同時に入射すると、そこが励起され局所的重合が起きる。続いて未重合樹脂を洗い流すことによってこの構造が得られる。しかし、高分子以外の物質で本技術を用いることは(例えば電気的な構造を作成する)困難であることがわかっている。
R.A.Farrerらは、重合体微細構造の「機能化」が次に目指すものであるとJournal of the American Chemical Society(128, 1796-1797; 2006)で報告している。彼らは、2種類の高分子を使用し、その片方に金属を選択的に溶着させて小さなインダクター(写真)を作成した。長さおよそ100μmのこの装置は、銅をコーティングした高分子から形成されている。支持物は第2の高分子から作られ、電気的な機能性を欠く。Farrerらはワイヤーも作成し、インダクターに接続して機能デバイスにした。
