Practice Point

アレンドロン酸はグルココルチコイド治療を受けている関節リウマチ患者の骨塩量を改善するか?

原論文

Lems WF et al. (2006) Positive effect of alendronate on bone mineral density and markers of bone turnover in patients with rheumatoid arthritis on chronic treatment with low-dose prednisone: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Osteoporos Int 17: 716–723

PRACTICE POINT(診療のポイント)

グルココルチコイド治療を受けている患者は、骨粗鬆症による骨折を防ぐために、アミノビスフォスフォネートによる早期治療も受けるべきである。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

プレドニゾンなどのグルココルチコイドは、骨塩欠失や骨折を引き起こすことが知られている。ビスフォスフォネート製剤アレンドロン酸は、中~高用量のプレドニゾン治療を受けている関節リウマチ(RA)患者において骨を保護することが示されている。しかしこの効果は、低用量のプレドニゾン治療を長期間にわたって受けているRA患者においては証明されていない。

OBJECTIVES(目的)

本研究は、低用量プレドニゾン療法を長期間にわたって受けているRA患者において、アレンドロン酸が腰椎および腰部骨塩量の改善に与える効果を調べることを目的としたものである。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

本研究では、無作為化二重盲検多施設共同プラセボ対照試験が行われた。この研究には、米国リウマチ学会のRA基準を満たしており、かつ本試験の前に少なくとも3カ月間、低用量(10mg/日以下のプレドニゾンとして定義)のプレドニゾン治療を受けた患者が含められた。その時点より後にグルココルチコイド治療を開始した患者、最近ホルモン補充療法による治療を受けた患者、および代謝性骨疾患をもつ患者は、試験から除外された。参加者は低用量のプレドニゾンによる治療を続けつつ、12カ月間にわたってアレンドロン酸またはプラセボのいずれかによる治療を受けた。必要に応じて、カルシウムとビタミンDが処方された。骨塩量はベースラインと3カ月、6カ月および12カ月の各時点で測定された。骨型アルカリホスファターゼマーカーはベースラインと3カ月および12カ月の各時点で測定された。分析はITT(intention-to-treat)解析によった。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

この研究の主要評価項目は、試験開始時と治療から12カ月後の腰椎骨塩量の差の割合とされた。また、試験開始時と終了時の間の臀部、大腿骨頸部、転子部の骨塩量の変化、周辺および脊椎骨折の発生率の変化、ならびに骨代謝マーカーの変化の割合が、副次的評価項目とされた。

RESULTS(結果)

合計163例の患者がこの試験に参加した。10mg/日以下のプレドニゾン治療を続けている患者に対して、アレンドロン酸(n=94、男性および閉経前女性では5 mg、閉経後女性では10mg)もしくはプラセボ(n=69)の服用が無作為に割り付けられた。12カ月後の時点で、アレンドロン酸を服用した患者では腰椎骨塩量に3.7%の増加がみられたのに比べ、プラセボによる治療を受けた患者では1.0%の減少が観察された(P<0.0001)。12カ月後時点における骨型アルカリホスファターゼ濃度は、アレンドロン酸を服用した患者では16.9%減少、対照の患者では3.3%減少していた(P=0.0005)。有害事象は両群とも同様であった。

CONCLUSION(結論)

アレンドロン酸は腰椎骨塩量と骨代謝マーカーを改善する。したがって、低用量のプレドニゾンによる長期的な治療を受けているRA患者には、アレンドロン酸が処方されるべきである。

KEYWORDS(キーワード)

アレンドロン酸、ビスフォスフォネート、骨塩量、グルココルチコイド、プレドニゾン

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COMMENTARY(解説)

Nancy E Lane

この研究は、低用量のプレドニゾン治療を長期にわたって受けているRA患者において、アレンドロン酸が骨塩欠失の防止に対して与える効果を評価した、いくつかの研究のうちの1つである。この論文を軽く一読すれば、アレンドロン酸による治療が低用量のプレドニゾン治療を受けているRA患者において骨塩欠失を防ぎ、骨代謝を抑えるものと結論できよう。しかし、この論文を慎重に検討すると、RA患者の骨の健康状態にわれわれがどのようにアプローチするかに影響するような、興味深い所見がいくつか見えてくる。

RAは局所的および全身的な著しい骨塩欠失をもたらす全身性炎症疾患である。RA患者における実際の骨粗鬆症性骨折の発生率を詳細に調査したコホート研究はわずかしかないが、RA患者における骨粗鬆症性骨折のリスクは、年齢と性別をマッチさせた対照群におけるよりも高いように思われる。また、プレドニゾンによる治療を受けている患者は、プレドニゾンを服用していないRA患者よりも骨粗鬆症性骨折のリスクがさらに高くなっており、全身化した炎症と機能はRA患者の骨粗鬆症性骨折の重要な予測因子であると考えられる1

Lemsらによるこの研究では、参加者の平均年齢が62歳、閉経後女性は全体の3分の1ほどで、低い平均プレドニゾン用量が用いられていた点(約2年のみの期間で6~7.6mg/日の範囲)に注意すべきである。興味深いことに、患者の39~62%は試験開始の時点で脊椎骨折を有していたが、腰部および腰椎の平均骨塩量、TスコアならびにZスコアは、すべて正常な範囲にあった。これらのデータは、グルココルチコイドが骨代謝を骨が脆くなる程にまで変化させ、閉経後女性においてみられるよりも高い骨量値で破壊し得るという、骨医学分野の多くの研究者たちによってなされた観察を支持している1。この可能性に基づき、著者の研究グループは、エストロゲンを欠損させたマウスと、グルココルチコイドで処置した別の群のマウスを使ってプラセボ対照試験を実施した。3週間の試験期間終了の時点で、プレドニソロン処置マウスとエストロゲン欠損マウスはともに、腰椎柱骨量を同じ量だけ失っていた。しかし、プレドニソロン処置マウスにおいては骨細胞空隙サイズに増加がみられ、骨細胞の周辺に石灰化の減少した限局的な領域があることが観察された。骨中のこれらの「ソフトスポット」は、エストロゲン欠損マウスには存在していなかった2。マウスにおける別の研究および無作為化臨床試験によるヒト生検からの予備的な証拠は、ビスフォスフォネート製剤リセドロネートが、小柱骨内の石灰化の低下した「ソフトスポット」を防ぐらしいことを示している3。これらの予備的な結果を確認できれば、グルココルチコイドによる治療を行ったさい、患者の骨量が正常であるにもかかわらず、なぜ骨が脆くなるのかを患者に対して説明できるようになると思われる。

プレドニゾンを頻繁に必要とする重症のRA患者は、全身性の炎症所見を呈する(これは赤血球沈降速度の増加や、C反応性蛋白、腫瘍壊死因子およびインターロイキン1の血漿濃度の上昇によって示される)。これらの炎症メディエーターは破骨細胞の活性を高め、骨芽細胞の成熟を抑えることによって、骨の代謝を変化させることができるため、骨粗鬆症の非常に重要な危険因子となり得る。われわれは、ビスフォスフォネートのような抗吸収薬に加えて、疾患を緩和する抗リウマチ薬や生物学的反応修飾薬による炎症の積極的な治療が、RA患者における骨の健康状態を改善するうえで非常に有効な方法となり得ると仮定している。この仮説を確認あるいは否定するためには、無作為化対照臨床試験が必要である。

References

  1. Van Staa TP et al. (2003) Bone density threshold and other predictors of vertebral fractures in patients receiving oral glucocorticoid therapy. Arthritis Rheum 48: 3224–3229  | Article | PubMed | ChemPort |
  2. Lane NE et al. (2006) Glucocorticoid-treated mice have localized changes in trabecular bone material properties and osteocyte lacunar size that are not observed in placebo-treated or estrogen-deficient mice. J Bone Miner Res 21: 466–476  | Article | PubMed | ChemPort |
  3. Balooch G et al. (2005) Risedronate maintains bone matrix mechanical properties and mineralization in a glucocorticoid-induced osteoporosis mouse and human study. Presented at the American Society for Mineral and Bone Research Annual Meeting, 23–27 September 2005, Nashville, Tennessee

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