Practice Point

変形性膝関節症においてX線側面像は脛大腿関節腔の評価に最適なツールか?

原論文

La Valley MP et al. (2005) The lateral view radiograph for assessment of the tibiofemoral joint space in knee osteoarthritis: Its reliability, sensitivity to change, and longitudinal validity. Arthritis Rheum 52: 3542–3547

PRACTICE POINT(診療のポイント)

荷重位撮影による膝の側面像は、膝の内側、外側脛大腿関節腔を評価するうえで信頼性が高い。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

膝の変形性関節症(OA)において、軟骨変性は疾患の重症度の主要な指標である。このため、軟骨減少を長期間安定させることが疾患修飾治療の成功を示す。膝OAでは、脛大腿関節腔幅(JSW)の減少が軟骨減少を示す指標であり、脛大腿JSWは膝屈曲位での透視下、非透視下X線撮影の前後(AP)像や後前(PA)像によりもっともよく評価される。

OBJECTIVES(目的)

本研究の目的は、膝OAにおいて、脛大腿関節の評価としてJSWの変化を測定するさい、X線側面像が有効な方法か否かを明らかにすることであった。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

45歳未満の症候性膝OA患者を、症候性膝OAの自然経過を調べる30カ月間の単施設研究であるボストン変形性膝関節症研究(Boston Osteoarthritis of the Knee Study)から募集した。ベースライン時と30カ月後に、Buckland-Wright法を用いて、30度膝屈曲位撮影と荷重位撮影による側面像、および透視下半屈曲位撮影によるPA像を得た。側面像については、フラミンガム変形性関節症研究(Framingham Osteoarthritis Study)プロトコールを用いて角度測定を行った。検査-再検査信頼性を評価するため、ベースライン時に患者20例に側面像の撮影を行い、最初の撮影の数時間後に再び側面像の撮影を行った。全被験者について、15カ月間の追跡調査後に電子カリパスを用いて脚の全体写真を得た。全X線写真に0~3のスコアをつけた。関節腔狭小は、ベースラインのスコアが30カ月後に1グレード以上増加することとした。感度について側面像と透視下PA像を比較した。膝の関節腔狭小を示すX線写真は、対応する脚の全体像で予想されるアライメント異常を確認することで妥当性を確認した。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

本研究の主要評価項目は、PA像と比較した側面像の検査-再検査信頼性とした。

RESULTS(結果)

ベースライン時と30カ月後の追跡調査で計355膝を評価した。側面像を用いたとき、脛大腿JSWがもっとも狭い部分の検査-再検査信頼性は、二乗平均平方根誤差が0.303mmであった。2枚目の写真の計92.5%は1mm以内であった。PA像(n=27)よりも側面像(n=41)で膝の関節腔狭小が多く認められた。症状進行の評価における信頼性は、PA像と側面像で同じであるとみなされた(K=0.73、P<0.001)。

CONCLUSION(結論)

著者らは、膝OA患者における脛大腿関節腔の変化の評価にはX線側面像が推奨されると結論づけた。側面像は透視下PA像よりも、信頼性、変化に対する感度がともに高いことが明らかになった。

KEYWORDS(キーワード)

症状進行、変形性膝関節症、X線撮影

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COMMENTARY(解説)

Stefan Lohmander

単純X線写真は、変形性関節症に伴う構造的変化を評価するうえで、臨床、研究両面での標準的な方法である。しかし、「単純」ということばの背後に、複雑で困難な課題が横たわっている。たとえば、膝のような三次元構造の変化をX線写真や画像などの二次元表示でどのように正しく評価するのか、X線写真には映らない関節軟骨の変化をどのように評価するのか、時間を追って評価できるよう画像撮像と読影をどのように標準化するのか、ということである。OAに関連する構造的な関節損傷の進行を緩やかにし、停止させ、回復させるような治療を特定しようとする現在の取り組みを考えると、後者の問題はとりわけもっともなことである。関節構造の経時的変化をモニタリングする、再現性があり感度の高い手段が開発されない限り、こうした目的をもった臨床試験は難しく、実施困難であろう。

このような状況のどれか1つでも改善しようと多くの研究が発表されている。しかし、多施設の臨床環境での実体験から、たとえ画像の取り込みを標準化しても、非常に複雑で困難な経験であることに変わりはないことが証明される1-3

このため、膝の側面像をよりルーチンに使用される前面像と比較したLaValleyらの一見何でもない報告は、こうした試練と苦難を背景にして考えるべきである。これは興味深い研究でありは、膝の側面像は信頼性が高く、妥当性があり、透視下PA像よりも変化に対する感度が高いことを証明している。上述の臨床試験の設定では、これは、必要とする患者がより少なく、試験期間がより短いということになるであろう。おそらく側面像の有用性は、日常的な臨床X線検査でも過小評価されているのではないだろうか?

しかし、この研究から導かれる結論にはいくつかの面で限界がある。たとえば、前面像と同様、側面像では膝屈曲度を標準化することが課題として残る。屈曲は関節弯曲のどの面が膝と接しているかを決定するため、写真に映る関節-軟骨厚(「関節腔」)に影響を与える。

MRIは関節-軟骨の量と質を直接評価する手段として急速に発展しつつあるが、FDAは今なお、X線写真をOA臨床試験における関節の構造的変化の主要評価手段として考えている。このため、レントゲンの世界初のノーベル物理学賞受賞から百年経過して、いまだに「単純」X線写真がこの分野で選択される方法なのである。技術が広く利用され低価格であること、およびMRIもまた評価、信頼性、変化に対する感度、画像取り込みの標準化に関して課題を抱えていることから、当面はまだこの分野でX線写真が果たす役割があるのだろうと思われる。

最後の問題点は、さらに広い意義があるのだが、OAの進行を緩やかにすることや進行を抑えることを目的とした臨床試験の評価項目として、関節-軟骨の量と質は妥当なのかということである。関節構造の存在またはその変化と、患者の症状や制限活動とのあいだの一致が少ないため、これは引き続き課題となる4-5

References

  1. Brandt KD and Mazzuca SA (2005) Lessons learned from nine clinical trials of disease-modifying osteoarthritis drugs. Arthritis Rheum 52: 3349–3359  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  2. Brandt KD et al. (2005) Effects of doxycycline on progression of osteoarthritis: results of a randomized, placebo-controlled, double-blind trial. Arthritis Rheum 52: 2015–2025  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  3. Osteoarthritis Initiative [http://www.oai.ucsf.edu/]
  4. Dieppe PA et al. (2005) Relationship between symptoms and structural change in osteoarthritis: what are the important targets for therapy?. J Rheumatol 32: 1147–1149  | PubMed | ISI |
  5. Dieppe PA and Lohmander LS (2005) Pathogenesis and management of pain in osteoarthritis. Lancet 365: 965–973  | PubMed | ISI |

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