Practice Point

前立腺癌に対する放射線量:多いほうがよい?

原論文

Zietman AL et al. (2005) Comparison of conventional-dose vs high-dose conformal radiation therapy in clinically localized adenocarcinoma of the prostate: a randomized controlled trial. JAMA 294: 1233–1239

PRACTICE POINT(診療のポイント)

前立腺癌では、従来の光子と陽子の組み合わせを用いて前立腺に高い線量の放射線を照射することで、毒性をほとんど上昇させずに結果の改善を達成することができる。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

従来の線量による放射線療法では、前立腺癌を根絶できない症例がかなりの割合で生じる。放射線量を増やすことによって、優れた腫瘍の局所制御が達成される可能性があるが、正常な組織の損傷を避けるために放射線療法の照準が正確に定められなければ、重症度が増加する危険性がある。

OBJECTIVES(目的)

原体照射法を用いて高線量の放射線治療を行うことによって、前立腺癌の局所制御が改善できるかどうかを確かめること。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

この無作為化対照試験では、限局性前立腺癌の患者に対して、従来の70.2 Gyの線量または79.2 Gyに増やした線量による外部放射線療法が施された。全患者に対して同じ線量の光子原体照射療法(50.4 Gy)が施されたが、ブースト線量は群間で異なり(19.8または28.8 Gy)、陽子線療法を用いて治療された。対象としては、腫瘍のステージがT1b~T2b(米国対癌合同委員会の基準を使用)、血清前立腺特異抗原(PSA)濃度が15 ng/mL未満で、全身骨スキャンおよび腹骨盤CTスキャンによって転移が認められなかった男性が含められた。患者はリンパ節の状態と血清PSA濃度によって層別化された。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

この研究では、生化学的失敗、局所制御および重症度がエンドポイントとされた。生化学的失敗は米国治療放射線腫瘍学会議(ASTRO)の基準(PSA濃度の3回連続の上昇)を用いて評価され、局所制御は生検の代わりに代替測定値(PSA濃度<1ng/mL)を用いて推定され、重症度は米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)の基準を用いて分類された。

RESULTS(結果)

患者全392例のフォローアップの中央値は5.5年であった(範囲:1.2~8.2年)。5年後に生化学的に再発がみられない割合は、従来線量群では61.4%(95% CI 54.6~68.3%)、高線量群では80.4%(95% CI 74.7~86.1%)であり(P<0.001)、失敗のリスクに49%の低下がみられた。高線量療法は、PSA濃度10 ng/mL未満、グリーソンスコア6以下、腫瘍ステージT2a以下(51%のリスク低下;P<0.001)と定義される低リスク疾患と、それよりも高いリスクの疾患(44%のリスク低下;P=0.03)の両方において有利であった。5年時点における局所制御は、従来線量群では47.6%(95% CI 40.4~54.8%)であったのに対し、高線量群では67.2%(95% CI 60.4~74%)であった(P<0.01)。全生存率に群間の有意差はなかった(97%と96%;P=0.8)。グレード3以上の急性尿生殖器/消化器(直腸)疾患が従来線量群の1%と高線量群の2%において生じ、グレード3以上の遅発型生殖器/消化器疾患がそれぞれ2%と1%の患者において生じた。なお高線量療法により、グレード2以上の急性および遅発型の尿生殖器疾患が増加した。

CONCLUSION(結論)

限局性前立腺癌の男性患者を従来の放射線療法よりも高い線量で治療した場合、5年時点で生化学的再発がみられない可能性がより高くなり、疾患の局所残存のリスクも低くなる。

KEYWORDS(キーワード)

生化学的失敗原体照射線量重症度前立腺癌

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COMMENTARY(解説)

Frank Vicini, Larry Kestin, Michel Ghilezan & Alvaro Martinez

前立腺癌の放射線療法における大幅な技術改善によって、正常な組織に対して毒性をほとんど、あるいは全く与えることなく、劇的に高い線量を照射することが可能となった。三次元治療計画ソフトウェアをコンピューター制御の洗練された治療アクセラレーターおよび強度調整放射線療法と組み合わせて使用することで(陽子、中性子、密封小線源治療など、新たな方式の放射線療法を用いてもよい)、これまでにない線量照射能力がもたらされている。これらの技術は、前立腺への照射線量が増えるにつれて治療結果が改善されるという前提に従って開発されたものである。前立腺癌の治療における線量反応関係は現在、この悪性腫瘍の治療に関与する臨床医と自然科学者の大部分に広く受け入れられている。しかし最近まで、よく計画された患者数の大きな前向き無作為化試験で、この重要な問題にとくに取り組んだものはほとんど発表されていなかった。結果として、この線量反応関係は主に、後ろ向きおよび前向きの非無作為化研究で得られたデータから推論されてきた1,2

従来の光子照射と陽子の組み合わせを用いたZietmanらによる研究は、明確に定義された特定の患者集団において、高い線量が「生化学的転帰」の向上を達成するうえで低い線量よりも客観的に優れていることを実証し、この点をはっきりさせた。ただし、この試験は最適にデザインされ、効率よく実施され、追跡調査も十分に行われているものの、いくつかの重要な問題、特に「線量反応問題」に関する問題と、前立腺癌の治療一般に関する問題が未決のまま残されている。

まず第一に、各病期の癌を根絶するために必要な絶対的最小線量が、いまだ確立されていない。これらの線量反応データでは、一般に線量が多いほうがより良好なことを示唆しているが、過去の多くの線量増加試験で認められた生化学的制御の改善のうち、どの程度が単純に患者の選択の良さや放射線照射の最適化(ターゲティングの良さ、線量の特定、患者の固定やトラッキング)に関係しているのかを判断することは難しい。最新の三次元技術を使って、標的の一部が時として意図された高線量領域から外れていることが判明すれば、オフラインの適応的アプローチやオンラインの画像誘導放射線療法アプローチによる優れたターゲティングによって、低い線量でも十分となるかもしれない3

第二に、任意の形態の放射線療法による治療の成功を判定するために、適切な生化学エンドポイント(治癒を判定する初期代用値として働く)が使われているのかどうかが依然として不確実である。最良の生化学的定義に関しては、議論が続いている4

第三に、Zietmanらによる研究では陽子が非常に効果的に用いられているものの(グレード2またはそれ以上の重症度の増加が若干認められた)、これらの高い線量の安全かつ経済的な照射を実現する最良の放射線治療方法については議論の余地がある。高エネルギー粒子と最新の密封小線源治療(高線量率密封小線源治療)では、より正確なターゲティングが可能なことは明らかであるが、より高価で労働集約的な技術が、画像技術、計画ソフトウェアおよび治療送達技術における最近の進歩を適用した従来の方法よりも、果たして有効なのかどうかは不確実といえる。

最後に、たとえ高線量の放射線療法が低い線量よりも癌の根絶に優れているとしても、これらの新しい放射線治療技術をコスト、生活の質、施術の容易さ、利用可能性および再現性の観点から他の種類の治療(例えば外科手術)と直接比較することは必要である。癌を効率よく根絶する放射線治療技術の先例のない能力と、癌を包括的に除去する外科技術が実現されており、これらの治療戦略が患者の生活の質と施術のコストに与える長期的な効果も、重要であることが明確となるであろう。

References

  1. Vicini FA et al. (2001) Defining a dose-response relationship with radiotherapy for prostate cancer: is more really better? Int J Radiat Oncol Biol Phys 51: 1200–1208  | Article | PubMed | ChemPort |
  2. van Tol-Geerdink JJ et al. (2006) Systematic review of the effect of radiation dose on tumor control and morbidity in the treatment of prostate cancer by 3D-CRT. Int J Radiat Oncol Biol Phys 64: 534–543  | PubMed |
  3. Yan D et al. (2005) Computed tomography guided management of interfractional patient variation. Semin Radiat Oncol 15: 168–179  | Article | PubMed |
  4. Kestin LL et al. (2002) Practical application of biochemical failure definitions: what to do and when to do it. Int J Radiat Oncol Biol Phys 53: 304–315  | Article | PubMed |

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