Practice Point

一体型PET/CTは膵癌の治療方針決定にどの程度有用か?

原論文

Heinrich S et al. (2005) Positron emission tomography/computed tomography influences on the management of resectable pancreatic cancer and its cost-effectiveness. Ann Surg 242: 235–243

PRACTICE POINT(診療のポイント)

PET/CTは、膵癌の疑い患者に対するルーチンの評価法の一部としてはまだ推奨できない

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

高死亡率膵癌患者の正確な病期分類は、適切な治療を進めるために不可欠である。18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)によるPETとCTを用いた同時検査法(PET/CT)が開発されているが、膵癌患者の治療方針決定におけるその有効性はこれまでに評価されていない。

OBJECTIVES(目的)

膵癌疑い患者におけるPET/CTの使用を、費用対効果と治療方針決定に果たす役割について評価すること。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

局所病変が認められたまたは膵癌が疑われ、2001年6月~2004年4月にPET/CTスキャンを受けた患者の、前向きの放射線学的データ、組織学的データ、臨床検査データを照合した。全例がPET/CTイメージングと造影CT(ceCT)イメージングを受けていた。手術の対象とされた患者は、追加的に、診断的腹腔鏡検査、胸部X線、超音波内視鏡検査などによる腫瘍病期分類検査を受けた。患者には4~6時間の絶食後に350~450MBqのFDGを注射し、PET/CTスキャンを実施した。PET/CTスキャンは1回で、CT、PETの順に施行した。腹部構造のCT画像を改善するために経口造影剤が投与された。画像はすべて、2名以上の核医学医と放射線科医が同時に読影を行った。PET/CT所見を標準的な病期分類法による所見と比較し、術中所見および組織学的データにより確認した。費用便益分析を行い、PET/CTイメージングの追加による直接費用と利益を評価した。患者には、適切な間隔をおいてクリニックで追跡検査を行った。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

主要エンドポイントは、治療方針の変更と治療の費用とした。副次的エンドポイントは、悪性腫瘍と良性腫瘍の鑑別および遠隔転移の検出などとした。

RESULTS(結果)

合計59例の患者(年齢中央値61歳、範囲40~80歳)を解析の対象とした。PET/CTは、膵癌に対して陽性適中率91%、陰性適中率64%であった。膵癌の診断についてPET/CTとceCTを比較すると、感度は89%対93%(P = 0.69)、特異度は69%対21%(P = 0.07)であった。遠隔転移の検出に関して、PET/CTは標準的病期分類法より優れており、PET/CTは感度81%、特異度100%であったのに対し、標準的病期分類法は感度56%、特異度95%であった。PET/CTによって、標準的病期分類法では検出されなかった遠隔転移が5例で、同時性の直腸癌が2例で検出された。PET/CTによる評価後に、膵癌患者6例(16%)の治療方針が変更された(P = 0.031)。この変更は費用節約にもなった。PET/CTの追加的な使用によって、患者1例当たり1,066ドルの節約となった。

CONCLUSION(結論)

PET/CTは、膵癌の疑い患者に対する有用かつ費用効果的な病期分類法である。

KEYWORDS(キーワード)

コンピュータ断層撮影, 膵癌, PET

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COMMENTARY(解説)

Okka W Hamer and Stefan Feuerbach

膵癌患者は予後が不良で、5年生存率は5%に満たない。腫瘍の早期発見と、手術が適応となる患者と腫瘍が過度に進行した患者を識別できることがきわめて重要である。現在はceCTが画像診断法として選択されている。しかし、ceCTは空間分解能とコントラスト分解能が優れているにもかかわらず、次にあげる4つのきわめて重要な点で問題が生じる。1つ目はきわめて小さい癌の検出、2つ目は膵癌と良性病変、とくに慢性膵炎との鑑別、3つ目は局所リンパ節転移の検出、そして最後は遠隔転移の検出である。

癌の検出や特性診断におけるPETの有用性は、この10年間に評価されてきた。膵癌が疑われる患者に対してPETを使用した場合に、ceCTで得られる以上の情報が得られるかどうかは依然不明である1-3。PETの重大な欠点は空間分解能が低いことである。FDGをトレーサとして使用し、PETとCTを融合することによって、この限界を克服できるような新しい画像診断法が利用可能となっている。

優Heinrichらは、PET/CTが肺癌疑い患者の治療方針決定に及ぼす影響を検討した。残念ながら、この研究の手法は満足のいくものではなく、解析はPET/CTに有利に偏っている。たとえば著者らは、原発腫瘍の特性診断におけるPET/CTの特異度(69%)が、ceCTの特異度(21%)より優れていることを報告している。この研究で示されたceCTの特異度は、文献中の値(60~90%)4,5より著しく低い。ceCTの技術的要素やceCT画像の読影法が明確に記されていないため、この不一致の原因は不明である。さらに著者らは、転移の検出や偶発的な同時性の直腸S状結腸癌の検出において、PET/CTの感度がceCTより優れていることを示した。この結果は、次の3つの要因によってもたらされた可能性がある。第1に、ceCTの方法が大腸癌検出のうえで最適化されていなかった(造影剤の直腸内投与が行われなかったなど)のではないかと推測され得る。第2に、PET/CTのみで遠隔転移が検出された患者5例のうち、2例では転移が肺と頸部に認められたが、これらの部位はceCTの視野に含まれていなかった。第3に、もう1例については、原稿に含まれるceCT画像から、腹壁転移はceCTで検出されなかったのではなく見落とされたことが示唆される。全体として、データからは、PET/CTによってceCTで得られる以上の有用な情報が得られることは示されていない。

医師が不安を感じるような臨床状況では、別の画像診断法を追加することによって病期分類の手法を拡大したくなる。しかしながら臨床医は、「できること」と「すべきこと」を区別しなければならない。膵癌患者の評価におけるPET/CTの役割について最終判断を下すために十分なデータは得られていない。しかしPET/CTは非常に有望な手法であるため、最終的にはこの画像診断法を臨床実践での使用に採用することを視野に入れながら、今後の研究を注意深く見守るべきである。

Acknowledgments

The synopsis was written by Rachel Jones, Associate Editor, Nature Clinical Practice.

References

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  2. Freeny PC (2001) Pancreatic carcinoma: imaging update 2001. Dig Dis 19: 37–46  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  3. Hanbidge AE (2002) Cancer of the pancreas: the best image for early detection—CT, MRI, PET or US? Can J Gastroenterol 16: 101–105  | PubMed | ISI |
  4. Prokesch RW et al. (2002) Local staging of pancreatic carcinoma with multi-detector row CT: use of curved planar reformations initial experience. Radiology 225: 759–765  | PubMed | ISI |
  5. Lytras D et al. (2005) Positron emission tomography does not add to computed tomography for the diagnosis and staging of pancreatic cancer. Dig Surg 22: 55–61  | Article | PubMed | ISI | ChemPort |

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