Practice Point

民間の減量プログラムはどの程度有効か?

原論文

Truby H et al. (2006) Randomised controlled trial of four commercial weight loss programmes in the UK: initial findings of the BBC “diet trials”. BMJ 332: 1309–1314

PRACTICE POINT(診療のポイント)

有効なダイエット法のほとんどについては栄養成分に依然議論の余地があるが、体重減少の成功はダイエットプランの継続に関連している。グループサポートを行うプログラムは順守度がもっとも優れている。

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

多数の民間減量プログラムが一般市民に提供されているが、それらの有効性を検討した対照試験によるデータは不足している。

OBJECTIVES(目的)

『Dr Atkins’ New Diet Revolution(アトキンス博士のローカーボ(低炭水化物)ダイエット)』、『Rosemary Conley’s Eat Yourself Slim Diet and Fitness Plan』、『Slim-Fast plan』、『Weight Watchers Pure Points Program』の4つの減量プログラムの有効性を比較すること。

DESIGN AND INTERVENTION(デザインと介入)

この6カ月にわたる地域ベースの非盲検無作為化対照試験は、英国放送協会(BBC)がスポンサーを務めた。18~65歳で自己報告によるBMIが27~40kg/m2であり、研究センターから48km(30マイル)以内に居住している参加者を適格とした。除外基準は、糖尿病、冠動脈性心疾患、疾患(甲状腺機能低下症など)に起因する肥満、減量手術の既往、摂食障害、脂質低下薬、降圧薬または減量薬の使用などであった。Weight Watchers群またはRosemary Conleyプラン群に割り付けられた参加者は、週に1回授業に出席した。Slim-Fast planに従う参加者群には、1日当り2食分まで代替食の費用を払い戻し、一方でAtkins diet群の参加者には『Dr Atkins’ New Diet Revolution』1冊を与えた。対照群には食事介入を行わなかった。介入前と2カ月後、6カ月後に体重、身長、腹囲、血圧、体脂肪を測定した。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

主要評価項目は、試験期間中の体重と体脂肪の変化とした。

RESULTS(結果)

合計232例の参加者を食事介入群に、61例を対照群に割り付けた。介入後の体重減少は、初めのうちは速かったが、2~6カ月目に減速した。開始から4週間後の体重減少量の平均は、Atkins群4.40kg、Rosemary Conley群3.17kg、Weight Watchers群2.86kg、Slim-Fast群2.68kgであった。しかし後の時点では、それぞれのプログラム間に差はなかった。体脂肪減少や腹囲の減少についても同様の傾向が認められた。腹囲の変化は、総体重の減少(r=0.81)および体脂肪減少(r=0.64)に関連していた。さらに、総体重の減少は、血圧の改善に関連していたが、空腹時血糖や総コレステロール値に対する効果にはばらつきがみられた。6カ月後の体重減少率の平均は、Rosemary Conley群9.9%、Weight Watchers群9.0%、Atkins群8.9%、Slim-Fast群6.8%であった(有意差なし)。どの介入群でもコンプライアンスは2カ月後の時点で高かったが、その後低下した。試験終了までに、介入群の参加者の27%と対照群の参加者の34%が脱落した。12カ月後の追跡調査データを入手できたのは158例で、このうち58例が引き続き割り付けられたプログラムに従っていた。もとのプログラムを継続していた参加者のうち、40例がWeight WatchersまたはRosemary Conleyプランを実行していた。食事介入に切り替えた対照群参加者も、これら2つのプランを好んでいた。

CONCLUSION(結論)

民間の減量プログラムは有益となり得るが、多大な意欲が必要である。長期的にみれば、グループサポートを行うプログラムがもっとも有効である可能性がある。

KEYWORDS(キーワード)

Atkins’ dietRosemary ConleySlim-Fast plan減量Weight Watchers

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COMMENTARY(解説)

Paul M Copeland

肥満の有病率は増加しつつあり、数多くの合併症をもたらしている。5~7%という適度の体重減少と、身体活動の増加を組み合わせることにより、2型糖尿病への進行を予防することが可能である。毎年、多額のお金が減量法に費やされていることから、どの方法が有効であるのかを知ることが重要である。対照試験によるデータが公表されている民間のプログラムはほとんどない1

すべての減量プログラムにおいて検討すべき要素は、食品構成、運動、行動変容などである。Trubyらは、4つの減量プログラムを評価している。Weight WatchersとRosemary Conleyプランはともに、グループサポートとフィードバックの要素を含んだ組織的プログラムである。正式な運動の要素が含まれているのはRosemary Conleyプランのみであるが、Weight Watchersにもフィットネスプランが含まれている。Atkins’ dietとSlim-Fastは、自助的プログラムとみなすことができる。Slim-Fastは、代替食によって、食物供給の減量法として証明された有効性を部分的にうまく利用している。しかし、Slim-Fast planの代替食では、丸1日分の食物摂取量を満たせない。

4つのダイエット法は、多量栄養素の構成が大きく異なる。Atkins’ dietは低炭水化物ダイエットである。トランス脂肪の危険性が強調されているが、このダイエットでは飽和脂肪と不飽和脂肪が区別されていない。Rosemary Conleyプランは低脂肪ダイエットで、果物と野菜に重点が置かれている。Weight Watchersは、高カロリー食または高脂肪食を選択した場合には減算し、高繊維食を選択した場合には加算するポイント方式を採用している。Slim-Fastのシェイクでは、カロリーの約1/2を炭水化物から、1/4ずつを蛋白質と脂肪から摂り、脂肪の約1/3は飽和脂肪である。180カロリーのシェイク1食に約5gの食物繊維が含まれている。

BBC試験で検討されたダイエット法は減量の達成に等しく有効で、代謝および心血管危険因子にはダイエット群と対照群の間でほとんど差がなかった。ダイエット群に無作為に割り付けられた参加者のうち27%のみが6カ月後までに脱落した。Slim-Fast群の参加者は、試験終了までの体重減少量がわずかに少なかったが、その差は有意ではなかった。この群の参加者は6カ月後までに、推奨された1週当り14食ではなく平均で8食しか代替食を利用していなかった。

同様の研究で、Atkins’ diet、Weight Watchers、Zoneダイエット、Ornishダイエットが比較された2。体重減少はこれらのダイエット群間で同様であり、すべての群でLDLコレステロール/HDLコレステロール比が低下した。メタアナリシスでは、低炭水化物ダイエットを低脂肪ダイエットと比較した場合に、HDLコレステロール/トリグリセリド比の概して好ましい変化が見出されたが、LDLコレステロールの増加も明らかとなった3。ある研究では、炭水化物によるカロリーを10%減らし、蛋白質または不飽和(主に1価不飽和)脂肪に置き換えることによって、心血管危険因子が減少した4

グループプログラムの1つの特徴である行動変容においては、食物に関連する身の回りの環境をコントロールすることを参加者に指導する。生活習慣の変更は、食事および薬物介入と組み合わせた場合に、体重減少にさらに有効となることが証明されている5。さらに、BBC試験では、自助的プログラムと比べて組織的プログラムのほうが脱落例は少なかった。

臨床医は、どのダイエットプログラムが最適であるのかを患者に助言するよう迫られている。BBC試験では各ダイエット法によって、処方されたプランを継続していた参加者において12カ月後に臨床的に有意な体重減少が得られた。この観察結果から、継続することが明らかに重要であることが示唆される。患者がWeight WatchersまたはRosemary Conleyプランなどのグループプログラムを好むのか、それともAtkins’ dietやSlim-Fastのような自助的プログラムを好むのかによって、選択の方向性が決まる可能性がある。

Acknowledgements

The synopsis was written by Vicky Heath, Associate Editor, Nature Clinical Practice.

References

  1. Tsai AG and Wadden TA (2005) Systematic review: an evaluation of major commercial weight loss programs in the United States. Ann Intern Med 142: 56–66 | PubMed |
  2. Dansinger ML et al. (2005) Comparison of the Atkins, Ornish, Weight Watchers and Zone diets for weight loss and heart disease risk reduction: a randomized trial. JAMA 293: 43–53 | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  3. Nordmann AJ et al. (2006) Effects of low-carbohydrate vs low-fat diets on weight loss and cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med 166: 285–293 | Article | PubMed | ChemPort |
  4. Appel LJ et al. (2005) Effects of protein, monounsaturated fat, and carbohydrate intake on blood pressure and serum lipids: results of the OmniHeart randomized trial. JAMA 294: 2455–2464 | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
  5. Wadden TA et al. (2005) Randomized trial of lifestyle modification and pharmacotherapy for obesity. N Engl J Med 353: 2111–2120 | Article | PubMed | ChemPort |

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