Practice Point

スクリーニングツールでは、骨粗鬆症発見のためにX線吸収測定を必要とする更年期女性を正確に選択できない

原論文

Rud B et al. (2005) Performance of four clinical screening tools to select peri- and early postmenopausal women for dual X-ray absorptiometry. Osteoporos Int 16: 764–772

PRACTICE POINT(診療のポイント)

3種類のスクリーニングツール(SCORE、ORAI、OST)と、骨折の臨床的危険因子に基づく疾病発見は、低BMDの危険性がある女性を特定するうえで有用ではなかったが、この結果はすべての集団に一般化できるとは限らないであろう

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SYNOPSIS(概要)

BACKGROUND(背景)

BMD測定や骨吸収抑制療法が有効となる可能性のある低骨量の女性を正確に特定できるような、明快なスクリーニング基準が求められている。スクリーニング法としては、主要危険因子に基づく疾病発見(case finding for major risk factors:CFMRF)または臨床判断尺度(SCORE、ORAI、OSTなど)のいずれかを用いた手法が導入されている。臨床判断尺度は、18~45%がホルモン補充療法を受けている平均約62歳の女性患者コホートを対象に作成されている。

OBJECTIVES(目的)

骨粗鬆症発見のために二重エネルギーX線吸収測定(dual-energy X-ray absorptiometry:DXA)を受けるべき女性を予測するうえでの、CFMRF、SCORE、ORAI、OSTの感度と特異度を評価すること。

DESIGNデザイン)

最初に、デンマーク人一般集団から抽出した女性47,720名に無作為に質問票を送付した。子宮が正常で、最後の月経出血から3~24ヵ月が経過した45~58歳の女性、更年期症状を呈している45~58歳の女性、子宮摘出術を受け卵胞刺激ホルモン値が上昇している45~52歳の女性を研究に組み入れた。女性2,000例の組み入れ後、まもなく登録を中止した。除外基準は、代謝性骨疾患、エストロゲンまたはグルココルチコイドの使用、現在または過去の悪性腫瘍、血栓塞栓性疾患、慢性疾患、アルコール/薬物依存症などとした。

INTERVENTION(介入)

DXAにより、腰椎L1~L4、大腿骨頸部、全股関節部のBMDを測定した。

OUTCOME MEASURES(評価項目)

SCORE、ORAI、OSTは、それぞれの作成者が定めたカットオフ値に従って使用した後、カットオフ値の変更を試みた。次にあげる危険因子のいずれかが認められた場合をCFMRF陽性とした。すなわち、45歳前の自然閉経、1年を超える続発性無月経、母親の股関節骨折、BMI<19kg/m2、45歳以降の脆弱性骨折または1ヵ月を超える不動状態、関節リウマチ、慢性肺疾患。

RESULTS(結果)

合計2,009例の患者を、CFMRF、3種類の臨床判断尺度、1部位以上のDXA(腰椎2,007例、大腿骨頸部と大腿骨近位部全体1,997例)により評価した。ホルモン補充療法中であったまたはホルモン補充療法歴があった患者は1%のみであった。もとのカットオフ値を用いた場合、大腿骨頸部Tスコア≦-2.0の予測におけるORAI、SCORE、OSTの感度は、それぞれ50%、69%、92%であった。しかし、腰椎の骨粗鬆症の発見におけるOSTの感度はわずか51%であった。もっとも感度の低かったスクリーニングツールはCFMRFで、感度はわずか18%であった。望ましい感度90%を達成するために、SCOREとOSTのカットオフ値を再設定するには、75%の女性にDXAスキャンを指示する必要があった。ORAIとCFMRFでは、感度90%はまったく達成不可能であった。

CONCLUSION(結論)

骨粗鬆症発見のためにDXAスキャンを受けるべき女性を選択しようと試みる場合、CRMRF、SCORE、ORAI、OSTは、本来考案された形では閉経期または閉経後早期の45~58歳の女性への使用には適さないと考えられる。

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COMMENTARY(解説)

Carolyn B Becker

低BMDは、骨粗鬆症性骨折の主な予測因子である。集団内の骨折を減少させるために、BMDがもっとも低い女性を対象に治療を行うやり方は合理的である。2002年のUS Preventive Services Task Forceのガイドライン1では、65歳以上の女性全員と、骨粗鬆症または骨折の危険因子を有する60~64歳の女性に対する定期的なBMD測定が推奨された。一般的な合意として、脆弱性骨折の既往、骨折の家族歴、低体重、著しい体重減少または身長低下、骨量減少に関連する薬剤の使用または疾患の存在などが危険因子とされている2

このような危険因子をもたない閉経後女性(60~64歳)と60歳未満の女性については、低BMDの危険性がきわめて高い女性の特定を行うために、簡便で迅速かつ非侵襲的なツールがいくつかの作成されている。これらのツールは、骨折の危険性が高い女性を特定するためではなく、むしろ早期の薬物治療が奏効すると考えられるTスコアの低い女性を発見するために考案された。Rudらの論文では、このような臨床判断尺度3種類(SCORE、ORAI、OST)と、「将来の骨折に対する主要な臨床的危険因子」に基づく疾病発見法(CFMRF)の性能について、デンマーク人の閉経期女性および閉経後早期女性からなる大規模集団を対象に、体幹骨DXAを用いて評価している。

結果は期待はずれであった。CFMRFとORAIはともに性能が低く、CFMRFは低BMDの女性を偶然に発見するのと同様であった。最善のツールは、0.2×(体重/kg-年齢)で算出したOSTであった。OSTでは、大腿骨頸部に骨粗鬆症のある女性が感度90%で正確に特定されたが、それ以外のスクリーニングツールは感度がはるかに低かった。特異度にも問題があった。骨粗鬆症女性の90%を正確に特定するためには、この対象集団の女性の75%を検査する必要があった。対照的に、これらのツールの陰性適中率は100%に近かったため、要BMD測定の基準を満たさなかった女性は、事実上Tスコア>-2.0が保証されたことになる。

妥当性が検証済みのこれらの判断尺度は、どうしてもっと確実に機能しなかったのであろうか? 主な原因は、研究対象コホートの違いであった可能性がある。Rudらの対象コホートには比較的若い閉経期女性が含まれ、エストロゲン療法中の女性は除外されていた。一方で、SCORE、ORAI、OSTといったツール作成時に対象となったコホートは、平均で12歳年長の閉経後女性に限定され、エストロゲン使用者が多かった。判断ツールの性能が不良であったもう1つの原因は、デンマーク人集団は、重要ないくつかの点において、これらのツールが最初に検証された集団とは異なっている可能性があることである。閉経後女性と閉経期女性の両者を対象にした他のいくつかの研究では、判断尺度であるORAIとOSTが、低BMD女性を特定するうえでまずまず良好に機能していた3,4

まとめると、判断ツールのSCORE、ORAI、OSTは、低BMDについて検査を受けるべき女性の選択に有用ではなかった。しかし、今回の研究の限界を考慮すれば、プレスクリーニングツールという概念を捨て去るのは時期尚早であろう。最近の経済分析では、これらの簡便な判断ツールの使用について、DXAによるマススクリーニングよりも費用対効果が高く効率的であるとされていた3。骨粗鬆症スクリーニングにおける判断ツールの適切な役割を見出すには、今後さらに研究が必要であることが明らかである。

Acknowledgments

The synopsis was written by Ian Newman, Editor, Nature Clinical Practice.

References

  1. Preventive Services Task Force (2002) Screening for osteoporosis in postmenopausal women: recommendations and rationale. Ann Intern Med 137: 526–528
  2. Raisz LG (2005) Screening for osteoporosis. N Engl J Med 353: 164–171
  3. Gourlay ML et al. (2005) Performance of osteoporosis risk assessment tools in postmenopausal women aged 45-64 years. Osteoporos Int 16: 921–927
  4. Cadarette SM et al. (2004) The validity of decision rules for selecting women with primary osteoporosis for bone mineral density testing. Osteoporos Int 15: 361–366
  5. Richy F et al. (2004) Primary prevention of osteoporosis: mass screening scenario or prescreening with questionnaires? An economic perspective. J Bone Miner Res 19: 1955–1960

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