体重減少の維持と心代謝危険因子の改善に対してrimonabantは安全かつ有効か?
原論文
Pi-Sunyer FX et al. (2006) Effect of rimonabant, a cannabinoid-1 receptor blocker, on weight and cardiometabolic risk factors in overweight or obese patients: RIO-North America: a randomized controlled trial. JAMA 295: 761-775
PRACTICE POINT(診療のポイント)
rimonabantは、生活習慣への介入とともに、肥満治療と心血管危険因子改善に有用な治療選択肢であるようだ。
SYNOPSIS(概要)
BACKGROUND(背景)
予備試験から、選択的カンナビノイド1受容体遮断薬であるrimonabantは、肥満患者の体重増加を抑え、関連する代謝障害を予防し得ることが示されている。しかし、このような効果が長期間維持されるかどうかは不明である。
OBJECTIVES(目的)
過体重または肥満の患者において、rimonabantがプラセボに比べ、長期間の体重減少と心代謝リスクの低下に対して安全かつ有効かを評価すること。
DESIGN(デザイン)
2001年8月から2004年4月まで、BMI≧30またはBMI>27で、治療の有無を問わず、高血圧または脂質代謝異常を合併している成人を対象に、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照RIO-North America試験を実施した。
INTERVENTION(介入)
最初の4週間は、全例にプラセボ投与に続き、食事療法(1日の摂取カロリーから約600kcalを引いた低カロリー食)を実施した。食事はそれぞれ患者の基礎代謝率および自己報告による身体活動レベルに合わせて調整した。第1期(プラセボ投与+食事療法)を完了した患者を、プラセボ、rimonabant 5mg/日、rimonabant 20mg/日のいずれかを1年間投与する群に無作為に割り付けた。1年目にrimonabant群に割り付けられた患者は、2年目には同量のrimonabant投与またはプラセボ投与のいずれかに無作為に割り付けた。
OUTCOME MEASURES(評価項目)
主要有効性評価項目は、1年目の体重変化と2年目の体重増加抑制の2項目とした。
RESULTS(結果)
最初の4週間のプラセボ+食事療法期を完了した患者3,045例のうち、1,222例はrimonabant 20mg/日群、1,216例はrimonabant 5mg/日群、607例はプラセボ群であった。この期間中、全体的に体重は平均1.9kg、腹囲は平均2.1cm、HDLコレステロール値は平均5.8%、トリグリセリド値は1.2%減少した。1年目では、rimonabant群はプラセボ群と比較して、体重減少の程度が有意に大きく、rimonabant 20mg/日群における体重減少の程度がもっとも大きかった(プラセボとの差の平均-4.7kg、95%CI -5.4kg~-4.1kg、P<0.001)。さらに、2年間のrimonabant 20mg/日継続投与群では、プラセボ群と比較して、10%以上の体重減少を示した患者が有意に多かった(17%対8%、オッズ比2.3、95%CI 2.1~3.3、P<0.001)。プラセボ投与中の変化を差し引くと、2年目のrimonabant 20mg/日群の体重(-4.4kg、P<0.001)、腹囲(-4.0cm、P<0.001)、トリグリセリド値(-7.4%、P<0.03)の変化は統計的に有意であった。rimonabant 5mg/日群では、プラセボと比較して、2年間にわたり体重および心代謝危険因子プロファイルは有意な変化を示さなかった。試験終了時、投与群間で有害事象発現率に差はみられなかった。
CONCLUSION(結論)
過体重または肥満の患者では、rimonabant 20mg/日により体重および腹囲が有効に減少し、心代謝危険因子も改善し得る。2年間にわたり、rimonabantはプラセボと同程度の安全性および忍容性を示した。
KEYWORDS(キーワード)
心代謝リスク, 肥満, rimonabant
COMMENTARY(解説)
Serena Tonstad
複数の系統的レビューでは、生活習慣への介入が行われた肥満患者は一般に、2~4年後に体重が5kg以下減少すると推定している。肥満治療薬を投与された患者では通常、5~10kg以下の体重減少が認められ、orlistat投与患者では体重の2.9%、sibutramine投与患者では体重の4.6%と推定される1-3。しかし、肥満試験での脱落率の高さを考えると、これらの推定値は厳密さに欠ける。RIO-North America試験のいくつかの特徴は、rimonabantが肥満治療の有用な選択肢となりうることを示唆している。第1に、BMIの上限が適格基準で規定されていなかった。BMIは治療を求める肥満患者の特色をよく表しているようで、30~35kg/m2、35~40kg/m2、>40kg/m2の各層に均一に分布していた。第2に、rimonabant 20 mgは忍容性が良好であった。有害作用のために投与中止となった患者は、1年目では7例中およそ1例のみで、2年目では333例中20例であった。第3に、体重減少の持続期間は、orlistatまたはsibutramineによる治療では6カ月間だったのに対して、rimonabantによる治療では約9カ月間であった。
プラセボ投与導入期の体重変化量を差し引いた後の平均減少量は4.2~5.9kgであり(脱落患者の説明のために用いられた統計法による)、他の肥満治療薬で報告された数値と類似していた1,3,4。さらに、すべての肥満試験と同様に、集中的な患者のサポートと食事療法の指導によって体重減少が達成された。直接比較研究を実施すれば、現行の減量療法と比べて、rimonabantの潜在的な有益性が確認されるであろう。rimonabant 20mgを投与された患者で精神障害の発生が増加したため、その長期安全性を評価する必要がある。また、遵守不良はしばしば体重増加と関連するため、高い脱落率はrimonbantの有益な効果の過大評価を招いたと考えられる。
肥満は心血管疾患リスクの増加に関連しており、しばしば予防薬が減量療法に追加処方される。本試験においてrimonbant療法により心代謝危険因子が改善されたとの報告は強い印象を与えるが、かといって、高脂血症治療や糖尿病治療の必要性がなくなるわけではない。4週間の単盲検プラセボ投与期後に、危険因子特性のベースラインからの変化を求めた。予想通り、エネルギー制限と食事療法による体重減少はHDLコレステロール値の低下を招いた。このため、2年目に、プラセボ投与期間の変化を差し引いて、HDLコレステロール値が6.2~8.6%上昇したことは、この初期の低下との関連で考慮しなければならない。rimonabant療法後に血圧、総コレステロール値およびLDLコレステロール値は有意に低下しなかった。さらには、脂質値、インスリンおよびホメオスタシスモデル評価(体重減少のみの結果として予想された値の2倍)に対するrimonabantの効果の一部は、無作為化がされていないため他の薬剤でも認められている4。統計解析だけでは、肥満治療が体重減少以外に患者の危険因子プロファイルを改善させることを示すことができない。この効果を調べるためには、エネルギー摂取量を調整して体重減少を避けるか、体重減少以外の効果をもたない薬剤と比較することになろう。最後に、著者らは、2年目にrimonabantからプラセボに切り替えられた患者では、2年間プラセボを継続投与された患者よりも、体重がわずかに低く維持されたと結論付けている。この知見は、rimonabantは投与1年後にも治療効果が持続するという、生物学的に妥当性のないような、統計解析で裏づけられない考えを示唆する。
Acknowledgments
The synopsis was written by Claire Braybrook, Assistant Editor, Nature Clinical Practice.
References
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- Curioni CC and Lourenco PM (2005) Long-term weight loss after diet and exercise: a systematic review. Int J Obes (Lond) 29: 1168–1174 | PubMed | ChemPort |
- Padwal R et al. (2006) Long-term pharmacotherapy for obesity and overweight. The Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 2, Art. No CD004094
- James WP et al. (2000) Effect of sibutramine on weight maintenance after weight loss: a randomised trial. Lancet 356: 2119–2125 | Article | PubMed | ISI | ChemPort |
