Introduction
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自然はキラル分子の認識に驚くほどの特異性を示すため、片方の鏡像体だけを合成することが重要な目標となる。単一鏡像体の合成方法が確立されている場合もあるが、数種の分子は依然として合成が非常に困難である。特に注目すべきは、キラル3級アルコールにみられるような4級立体中心の構築を伴う方法である。キラル2級アルコールは、炭素求核試薬をアルデヒドに付加することによって比較的容易にエナンチオ選択的に合成可能である。しかし、そのような方法は、キラル3級アルコールの合成に適していない。なぜなら、通常、選択性はカルボニル基の両脇にある置換基の立体的な相違に依存するからである。必要となる出発ケトン化合物は、そのような立体的相違がはるかに小さいのである。
このほど、英国ブリストル大学のV Aggarwalらは、キラル2級アルコールを3級アルコールのいずれの鏡像体にも変換できる簡便な方法を開発した1。その方法は、狙った炭素-炭素結合の極性変換切断を利用している。2級アルコールをまずカルバメートに変換し、メチンプロトンを強いリチウム塩基で除去できるほど十分な酸性にする。得られた有機リチウム種をボロン酸エステルまたはボランと反応させ、転位反応に続く酸化的処理によって目的の3級アルコールを合成する。
重要なのは、ボランの使用によって立体構造がほぼ完全に反転するのに対し、ボロン酸エステルでは立体構造が保持されることである。このように、アキラルな試薬を選択するだけで、3級アルコールのいずれの鏡像体も出発物質の片方の鏡像体から合成できる。

ドナーと