査読要綱


一般的な方針

ネイチャーの全ジャーナルに適用される、査読の一般的な方針は、こちらをご覧ください。


論文原稿のオンライン査読

査読者は、エディターからの電子メール上のリンクから本誌のオンライン投稿システムに入り、コメントを提出されることを強くお勧めします。このシステムに関して質問がある場合や問題が発生した場合は、本誌の編集アシスタントまでお問い合わせください。


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Nature Chemistryについて

Nature Chemistryは、科学的な質の高さと関心度の高さで群を抜く研究論文の集まる、認知度の高いフォーラム作りを目指す国際的な月刊ジャーナルです。本誌とNatureは同じ出版社から発行されていますが、編集体制は相互に独立しています。ネイチャーの他のジャーナルと同じく、本誌は外部の編集委員会を設けておらず、常勤のエディターがすべての編集上の決定について責任を負っています。Nature Chemistryに関する詳しい情報は、こちらをご覧ください。本誌に関するその他のご質問は、本誌エディターまでお問い合わせください。


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掲載基準

毎月、Nature Chemistryには、一度に掲載できる論文数をかなり上回る数の論文原稿が送られてきます。したがって査読者は、1本の論文を受理するためには、別の1本の良質の論文を不採用としなければならない点を肝に銘じておく必要があります。

Nature Chemistryでの論文掲載には、次のいくつかの一般的な基準を満たす必要があります。

  • データの技術的信頼性が高いこと
  • 論文に提示された結論を裏づける有力な証拠が論文中に示されていること
  • 研究結果に新規性が認められること(既に抄録が公表されていたり、インターネット上で未定稿が発表されていたりしても新規性は損なわれないと考えます。)
  • その研究が特定の分野の科学者にとって重要であること
  • その論文が、化学の分野の一般読者の関心を引くものであること

一般的に、論文が受理されるには、1つの研究分野における論点の解明を進め、従来の考え方に影響を与える可能性の高いものである必要があります。単なる専門誌ではなく、認知度の高いNature Chemistryに掲載されるためには、それにふさわしい何らかの理由が必要なのです。


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査読過程

編集スタッフは、投稿された論文原稿すべてに目を通します。著者と査読者の時間を節約するため、本誌の編集基準を満たす可能性が非常に高いと考えられる論文のみについて正式の査読が行われます。幅広い関心を呼ばない、あるいはその他の理由から適切でないとエディターが判断した論文は、外部での査読なしに直ちに不採用となります。(ただし、その決定は、関係分野の専門家による非公式の助言に基づいてなされることがあります。)

本誌の読者の関心を集める可能性があると判断された論文原稿については、通常3人の査読者による正式の査読が実施されます。そしてエディターは、査読者の助言に基づいて、次のいずれかの決定をします。

  • 受理(編集上の修正が加わる場合があります)
  • 最終決定の保留(著者に対し、論文原稿を修正して具体的な問題点を解消するように促します)
  • 不採用(ただし追加的研究を行うことで再提出が認められる可能性があることを通知します)
  • 無条件不採用(専門家のみが興味を示すこと、新規性の欠如、理論的進展が不十分なこと、技術面または解釈面で大きな問題があることなどが主な理由となります)

査読者が論文掲載の是非を具体的に勧告することは歓迎しますが、他の査読者が、これと異なる見解を示す可能性があり、エディターは内容的に対立する複数の助言を踏まえて決定を下さざるを得ない場合があることに留意してください。したがって、最も有益な報告書とは、エディターが決定を下す際に依拠すべき情報が記載されているものということになります。掲載の是非に対して賛成、反対の両方の立場からの議論を併記した報告書は、その一方を直接的に勧告した報告書と同じ程度に役立つことが多いのです。

編集上の決定は、多数決や数値評価の積み上げによって行われるものではありません。常に多数意見に従って決定を下しているわけではないのです。本誌では、各査読者および著者の主張の論拠を評価することに努力を払い、いずれからも提供されていない他の情報を考慮に入れる場合もあります。本誌は、主として読者と学界全体に対して責任を負っており、読者や研究者に最も役立つような方針を決めるためには、それぞれの研究論文に示された主張と他の検討対象論文での主張との間で比較考量をしなければならないのです。

特に、査読者間で意見が対立している場合や、事実問題で誤解をあると著者が考えている場合には、査読者に再度助言を求めることがあります。したがって査読者は、求めに応じて追加的助言をしなければなりません。一般に、査読者の皆様が長期間の論争に巻き込まれたくないことは十分に理解しているため、皆様に助言を求める場合は、著者に公平な聴聞の機会を与える上で必要最低限の範囲内にとどめるように努めます。

査読者が論文の査読に同意した場合、その後の修正版の査読についても同意したものと見なされます。ただし、論文の再提出があっても、著者が査読者の批判に真剣に応えようとした様子が伺われない場合には、その論文は査読者には送付されません。

本誌では、査読者の批判を極めて真剣に受け止め、特に技術面での批判はほとんどすべて検討します。1人の査読者のみが掲載に反対している場合には、他の査読者と協議して、反対している査読者が不当に厳しい基準を適用していないかどうかを調べることがあります。時には査読者を追加して論争を決着させることもありますが、追加的助言が必要と考えられる具体的論点がないかぎりは、そのようなことは避けたいと考えています。


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査読者の人選

査読者の人選は、査読過程にとって重大な意味をもっています。本誌では、専門家としての力量、世評、具体的な推薦、過去の本誌での査読作業で認められた特性など数多くの要素をもとにして人選が行われます。例えば、慢性的に作業が遅く、不注意で、過度に厳しいか甘い評価をする査読者は選ばないようにしています。

通常、事前に査読者候補に問い合わせた上で、査読のための論文原稿を送っています。査読者の皆様は、送付物には秘密情報が含まれており、相応の取り扱いが求められる点に留意してください。


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査読報告書の作成

査読の主たる目的は、エディターが決定を下すために必要な情報を提供することです。また査読報告書では、受理されうるレベルまで論文を改善する方法を著者に示すことも望まれます。掲載に否定的な報告書では、できるだけ論文原稿の弱点を説明して、不採用の理由が著者にわかるようにすることが望まれます。ただし、この点は、報告書の他の機能と比べれば二次的なものであるため、査読者の皆様は、Nature Chemistryの掲載基準を満たさない論文の著者に細かな助言を与えなければならないと思う必要はありません。

エディターに秘密裏にコメントを送ることは歓迎しますが、その要点を著者に送付されるコメントの中にも示すことが望まれます。以下の各論点に対応できていれば、理想的な査読報告書といえます。

  • 論文での主要な主張とその意義
  • 主張の新規性の有無。もし新規性がなければ、新規性欠如の原因となっている主要な論文名を挙げてください。
  • この論文に関心をもつと予想される読者・研究者層とその理由
  • この論文は、同じ研究分野の論文の中でも傑出している点があるかどうか
  • 論文での主張の説得力。説得力がない場合は、どのような証拠を追加する必要があるか。
  • この論文での主張を補強できるような追加的実験の有無。その実験によって論文が改善される程度と実験の難易度の予想。
  • 論文における主張が、これまでの文献の流れで、適切に論じられているかどうか
  • 今のままでは論文原稿を受理できない場合には、この研究が十分に有望で、著者に将来的な論文の再提出を推奨できるほどのものかどうか

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査読者が考慮すべき他のポイント

その論文原稿について、掲載の是非の検討を続ける価値があると認められる場合には、査読者が以下のポイントについて助言することが望まれます。

  • 論文原稿の記述は明瞭か。明瞭でない場合、専門外の読者にとって明瞭あるいは読みやすい文章とするには、どうすればよいのか。(文法やスペルについて詳細なコメントをつける必要はありません。この論文が受理されれば、本誌のコピーエディターが処理します。)
  • 論文原稿の短縮は可能か(誌面スペースには限りがあるため)。
  • 著者は、自らの研究成果を適切に示し、過大な表現を避けているか。
  • 著者は、過去の文献を公平に取り扱っているか。
  • 著者は、実験を再現できる程度に十分詳細に実験方法を記述しているか。
  • データの統計解析は信頼性が高いか。
  • 著者に対して、方法に関する補足情報・データをNature Chemistryのウェブサイトで公開するように要請すべきか。(そのようなデータには、モデル化研究のソースコード、方法の詳細、数学的導出が含まれます。)
  • 著者は、研究で作製し、または論文原稿で検討された化合物の特性解析を十分に行ったか。
  • 動物やヒト被験者を使用することで特殊な倫理的問題が発生するか。

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守秘義務

査読者は査読過程を極秘に扱わなければならず、査読に直接関与していない人と論文原稿について話し合ってはいけません。研究室の同僚に助言を求めることは認められますが、誰の助言を求めたのかをエディターに報告してください。査読者が、自らの研究室以外の専門家に助言を求めることは認められていますが、事前にエディターに問い合わせて、著者が相談することを禁じている者が関与しないようにしてください。


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時間厳守

Nature Chemistryは、編集上の決定を迅速に下し、迅速に論文を発表するために全力を尽くします。本誌では、編集プロセスの効率化が論文著者と学界全体にとって貴重だと確信しています。したがって、査読者にも迅速に対応することが求められます。(通常は論文原稿を受け取ってから2週間以内に査読を完了させてください。ただし、事前の取り決めによって、この期間の長さを変えることが可能です。)遅れの長期化が予想される場合、査読者は本誌に連絡してください。この情報を著者に提供するとともに、必要であれば、別の査読者を探すこともできます。


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匿名性

本誌は、査読者自身が氏名の公表を具体的に求めないかぎり、査読者が誰かという情報を著者やその他の査読者に発表しません。査読者が氏名の公表を強く主張しないかぎり、本誌では、査読過程中、査読過程後を問わず、査読者の匿名性を確保したいと考えています。査読者は、氏名を公表する前に、公表後に他の査読者による批判にコメントを求められる可能性を考慮すべきです。そのような状況下では、客観性を保つことがより難しくなる可能性があります。

査読者は、エディターに無断で、自分が査読者であることを著者に通知しないでください。自分が査読者であることを明らかにしたい場合は、エディターを通じて行ってください。

著者が査読者と対決しようとしたり、査読者の正体を明らかにしようとしたりすることは、遺憾なことだと思います。査読者の正体をめぐる憶測については肯定も否定もしないことが本誌の方針であり、査読者自身も同じ方針に従うことを推奨します。


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査読報告書の編集

本誌は、査読報告書の内容を隠ぺいしない方針をとっており、査読者が論文著者のために書いたコメントは、その内容についての本誌の見解にかかわらず、著者に送付されます。ごくまれに査読報告書を編集して、侮辱的な言葉遣いを削除したり、他の事項に関する秘密情報が示されたコメントを削除したりすることはあります。査読者の皆様に対しては、不必要に相手の感情を害するような表現を避けることをお願いし、論文著者の皆様に対しては、荒々しい言葉遣いによる批判だから公正を欠くと直ちに断言できないことをご理解いただくようお願いいたします。


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利害関係の対立状況

論文著者が何らかの理由で除外を求めた人物には査読を依頼しない、というのが本誌の通常の方針です。また通常、論文著者と共同研究を直近に行ったことがある(あるいは進行中である)、論文原稿の草稿にコメントしたことがある、同じ研究結果に関して直接的に競合している、過去に論文著者と紛争があったことを本誌で把握している、研究成果に対して金銭的利害のあるなどの人物については、査読を依頼することを避けています。エディターが、偏見の生じる可能性をすべて把握するのは不可能なため、査読者の皆様には、その査読に影響を与えうるすべての事象をエディターに知らせ、査読の客観性を保てないと感じる場合には、査読の依頼を断るようにお願いいたします。

ただし、利害の対立状況は常に明快とは限らないため、本誌としては、上述した状況があっても査読報告書の有効性が直ちに損なわれるわけではない、と認識しています。確かに論文を評価するのが最もふさわしいのは、関連する研究分野に最も近い人々であることが多く、特定の主張に懐疑的な姿勢を示す査読者であっても新たな証拠を示されれば主張の正当性を認める可能性はあるのです。本誌では、査読報告書を評価する際に、これらの要素を考慮に入れるように努めます。

別のジャーナルに投稿された論文を査読した後に、Nature Chemistryで同じ論文を再び査読するのは論文著者に対してフェアでないと考える査読者がいるかもしれません。しかし、本誌は、そのようには考えません。2つのジャーナルが、その論文の査読にふさわしい人物として同一人物を独自に選んだわけですから、それによって、その人物の査読の有効性が損なわれることはないと考えています。


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査読者に対するフィードバック

査読者の批判を受けて修正された論文原稿の再査読を依頼する際には、原則として他の査読者のコメントの写しも添付します。論文の採否に関する決定は査読者にも電子メールで通知し、その際には他の査読者の報告書の写しを添付するのが通例です。

通常、論文受理の通知は、不採用を勧告した査読者にも送られます。査読者は、自分の意見が認められなくても、その判断に対する信頼性が決して失われていないことをご理解ください。専門家の間で意見が分かれることは珍しくなく、エディターとしては、たとえコンセンサスがない場合でも、何らかの決定を下さなければならないのです。