編集長に聞く
Q1.ネイチャーがNature Chemistry を創刊する理由は何ですか。
ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)は、これまでにいくつかの物理科学系ジャーナル(Nature Materials、Nature Physics、Nature Nanotechnology など)を創刊してきました。各誌については、それぞれの分野で、インパクトの大きな研究を発表する場としての定評がすばやく確立しました。こうしたジャーナルが成功を収め、科学者のコミュニティーで肯定的に迎えられたことを受け、今回は、化学の分野でネイチャーの権威と定評を役立てようと決意しました。Nature Chemistry は、既存の文献に本物のバリューを付加できるジャーナルのみを創刊するという、NPGの方針を固く守っています。また、NPGには、オンライン出版の技術革新に対するコミットメントがあり、インターネット上での化学関連誌の出版に新たな革命を生み出す体制が整っています。姉妹誌であるNature Chemical Biology で既に提供している化合物情報ページと三次元構造の表示は、その一例です。
Top of pageQ2.Nature Chemistry の創刊は、化学関係の出版業界にどのように影響すると思われますか。
Nature Chemistry の創刊によって、化学の個別分野の研究者全員にとって、自分たちの重要な研究論文を投稿するジャーナルの選択肢が増えることになります。実際のところ、化学の総合ジャーナルとよべるものは意外に少なく、Nature Chemistry はまさに化学分野の質の高い総合ジャーナルとなります。このことから、今回の創刊は、化学研究者のコミュニティーにとって望ましい展開だと思います。
競争は市場の活性化に役立ちます。Nature Chemistry の創刊によって、化学関連出版社がそれぞれジャーナルのあり方を見直し、その改善に努力すれば、論文を発表したり読んだりする研究者が恩恵を受けることになるでしょう。
Top of pageQ3.Nature Chemistry について、編集長のビジョンをお聞かせください。
今のトレンドは、化学(そして科学一般)をニッチなテーマにどんどん細かく切り分けて、非常に狭い分野に焦点を当て、その個別分野の研究者だけが関心を寄せるジャーナルを創刊することです。これに対してNature Chemistry は、できるかぎり化学の個別分野間の垣根を取り払い、化学研究者コミュニティーに幅広くアピールすることをめざしています。Nature Chemistry は、質の高い研究論文だけでなく、化学のほかの側面(例えば教育、政策、安全性、資金調達やその他の関連論点に関する洞察力のある解説や分析)も掲載されるジャーナルとして読者に認知されるようになりたいと考えています。
Top of pageQ4.Nature Chemistry とほかの既存ジャーナルの違いを説明してください。
いくつかの点で差別化できます。まずNature Chemistry の編集チームは、PhDを有する専任エディターによって構成されています。編集チームは、査読プロセスを監督するだけでなく、掲載論文の発表形態に関しても重要な役割を果たします。各論文の原稿は(著者の協力を得て)慎重に編集され、化学研究者コミュニティーのできるだけ幅広い読者層にとって読みやすくなるよう努めます。またエディターは、各論文の画像についてもきめ細かなフィードバックを行い、必要に応じて改善方法を提案します。
また、Nature Chemistry には、研究論文に加え、社説、論説、リサーチハイライト、学会報告、News & Views、特集記事、そして、少人数のライターが定期的に執筆するコラムなどの補完的コンテンツも掲載されます。
これに加えて、研究論文に記述された物質に関して、インタラクティブな分子の三次元表示やその他の化合物特有の情報を提供することも計画しています。PubChemへのリンクも設定することになっており、ほかのデータベースへのリンクについても可能性を探っています。また、本誌の創刊直後から、テキストマイニングされたコンテンツの提供を始める予定で、重要な用語にマークをつけて、必要に応じてデータベースへのリンクを設定します。
そして読者の皆様は、本誌の創刊号から、掲載される研究論文とその他のセクションについて、ブログに投稿するのと同じような要領で、コメントを書き込むことができます。
Top of pageQ5.図書館員の方からは、現在発行されているジャーナルの種類が既に多すぎるという話をよく聞きます。どのように思われますか。
その通りだと思います。値段が高い、インパクトが低い、対象範囲が狭いといったジャーナルが多すぎ、また、そうしたジャーナルが化学をどんどん細分化しています。Nature Chemistry は非常に質が高く、圧倒的多数の化学研究者に関係するコンテンツが掲載され、値段に見合ったバリューを提供するジャーナルといえるでしょう。1つの学科で数人しか恩恵を受けないような論文誌とは違うのです。
Top of pageQ6.何か付け加えたいことはありますか。
NPGの化学ブログ「Sceptical Chymist」やFacebookの私たちのページでNature Chemistry の今の動きがわかりますので、ぜひご覧になってください。
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