Research Press Release

【天文学】高密度の原始銀河団

Nature

2018年4月26日

密度の極めて高い大質量の原始銀河団(銀河団の前駆天体)が発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。

南極点望遠鏡を使って全天のある領域を観測した結果、希少な高輝度の電波源集団が見つかった。今回、Tim Millerたちの研究グループは、一酸化炭素とイオン化炭素の放出量の高感度観測を行い、これらの電波源の中で最も輝度の高いSPT2349-56について報告している。SPT2349-56は、原始銀河団で、ガスを豊富に含む銀河が少なくとも14個含まれており、これらの銀河では急速な星形成が起こっていることが判明した。また、Millerたちは、これらの銀河が、直径わずか約130キロパーセクの領域に集中して存在していることも報告している。

Millerたちは、14個の銀河の連続光とスペクトル線の測定を行って、星形成の特性を推定し、それぞれの銀河では、天の川銀河の50~1000倍の速さで星形成が起こっていると結論付けた。

また、SPT2349-56と高赤方偏移に位置する他の既知の原始銀河団との比較も行われ、SPT2349-56が独特な高密度かつ大質量な天体系で、現在の宇宙で最も質量の大きな構造の1つを作り上げている可能性のあることが示唆されている。Millerたちは、SPT2349-56が、宇宙の誕生からわずか14憶年ですでに形成過程の進んだ段階にあった銀河団のコアであるとする考えを示している。

doi:10.1038/s41586-018-0025-2

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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