Research Press Release

【物理学】アンテナのさらなる小型化

Nature Communications

2017年8月23日

次世代アンテナを現在の小型アンテナの100分の1まで小さくできる新しいアンテナ設計法を説明する論文が、今週掲載される。この新技術は、携帯無線通信システム(ウエアラブル電子装置、スマートフォン、生体埋め込み型アンテナ、生体注入型アンテナを含む)に応用できる可能性を秘めている。

従来のアンテナは、強固な金属構造体で、特定の波長の電磁波と共振するような大きさに設計されているため、小型化には限界がある。今回Nian Xiang Sunたちの研究グループが開発した新しいアンテナは、特定の波長ではなく、特定の周波数の電磁波と共振する膜であり、それによりアンテナの物理的大きさを劇的に小さくすることが可能となった。この膜は、振動によって磁化状態が変化する薄膜磁気電気材料でできており、音響振動と送受信する電磁波を結合した。

Sunたちは、この膜の形状を変化させることで膜の共振周波数を制御できることを発見し、それぞれUHF(極超短波)周波数帯とVHF(超短波)周波数帯に対応する2つのアンテナを設計することで新技術を実証した。この新しいアンテナは、同程度の大きさの従来型アンテナよりも性能が優れており、完全パッシブタイプのアンテナであるため、簡単な電子工学によって作製でき、電池を必要としない。

doi:10.1038/s41467-017-00343-8

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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