【動物行動】ペンギンにウェブカメラを持たせて沖合での発声行動を調べる
Scientific Reports
2017年8月18日
ジェンツーペンギンに取り付けたビデオカメラで録画した外洋でのジェンツーペンギンの発声行動の内容とペンギンの鳴き声の機能的役割に関する論文が、今週掲載される。
亜南極諸島と南極地域で見つかっているジェンツーペンギン(Pygoscelis papua)は、主にオキアミと魚類を集団で捕食している。しかし、このペンギンの外洋における採餌場は簡単に近づけないため、採餌旅行の際に用いる発声レパートリーの研究が行われていなかった。
今回、Won Young Leeたちの研究グループは、南極のキングジョージ島に生息するジェンツーペンギンの2回の繁殖期(2014~2015年、2015~2016年)にわたる採餌行動をジェンツーペンギンに取り付けたビデオカメラで記録した。Leeたちは、これによって10個体の沖合での鳴き声(598例)を収集し、その音響特性と行動状況を分析した。その結果、そうした沖合での鳴き声の約半数で、鳴き声を発してから1分以内に集団が形成されたことが分かった。また、沖合で鳴き声を発する前後で採餌潜水の占める割合と獲物の捕獲率に有意差は見られなかった。このことは、この鳴き声が食料に関係するのではなく、仲間を呼ぶことに関係していることを示唆している可能性がある。これに対して、Leeたちは、沖合で鳴き声を発したペンギンが浅く短い潜水をして、特定の場所にとどまるのではなく、新たな場所へ移動したことを観察した。Leeたちは、ペンギンが採餌旅行の際に群れを形成するために音声コミュニケーションを利用しているという仮説を立てている。
ジェンツーペンギンの水中生活について解明を進めるためには今後も調査を続ける必要があるとLeeたちは指摘している。
doi:10.1038/s41598-017-07900-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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