火山が噴火してビーナスの毛が増える
Nature Ecology & Evolution
2017年4月25日
海底火山の噴火によってもともと周辺にいた生物が全滅した後に、そこに定着した新種の細菌について、今週のオンライン版で報告される。その研究は、生物が活動を再開する様子の理解、および壊滅的な事象の後の新たな生息地の形成に関する洞察をもたらす。
陸上と全く同じように、海底火山の噴火も溶岩と有毒ガスを生じ、細菌から魚類まで、近傍の全生物を壊滅させる。カナリア諸島沖のタゴロ海底火山は、2011年から2012年にかけて噴火し、まさにそれが発生した。
しかし、それから2年後、Roberto Danovaroたちは、火山の周囲の海底に巨大な微生物のマットが定着し、それが何キロメートルも広がっているのを発見した。研究チームは、分子・地球化学・顕微鏡解析用のツールを搭載した遠隔操作車両を利用して、それまで知られていなかったこの微生物組織体の最も顕著なものの特徴を調べた。それは、研究チームがThiolava venerisと命名した細菌の細胞からなる毛髪状の糸(一般名:Venus's hair)である。調べた結果、T. venerisは噴火後の硫黄分の多い環境で繁殖し、酸素と硝酸塩の両方からのエネルギーを利用することができるため、この一見して過酷な環境の食物網の基盤を形成することが分かった。
関連するNews & Views記事では、David Kirchmanが次のように述べている。「研究により、どこでいかにして細胞が最初に生まれ、今のタゴロ火山で微生物が行っているような地熱エネルギーの利用を行ったのかについて、さらに幅広い問題が解明されるかもしれない」。
doi:10.1038/s41559-017-0144
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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