化石:殻の化石で知られる生物の軟組織の解析による形態的特異性の再確認
Nature
2017年1月12日
Fossils: Soft shelly fossils find their branch on the tree of life
古生代を通じて発見されているヒオリテス類は特徴的な生き物で、円錐形の外骨格を持ち、2本の特異な付属肢が胴体の下から湾曲して突き出していたと考えられているが、このほど、その軟組織が化石化した標本の解析が行われ、ヒオリテス類が無脊椎動物の一種である触手冠動物に属することが確認された。この新知見は、カンブリア爆発の最も初期に起こったボディープラン(体制)の多様化に関する手掛かりとなる。この研究結果について報告する論文が、今週掲載される。
急速かつ顕著な進化的変化が起こり、主要な動物門のほとんどで代表的な動物が出現したカンブリア紀の始期(約5億4000万年前)から存在していたヒオリテス類について記述された最初の論文が発表されたのは175年前のことだった。ヒオリテス類は、特に軟体動物に似ていると考えられ、独自の門に分類されていた。しかし、その独特な解剖学的構造と不完全な化石記録のために分類が確定していなかった。
今回Joseph Moysiukの研究チームは、バージェス頁岩(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)とスペンス頁岩(米国・ユタ州)から採取された1500点以上のヒオリテス類の化石標本の解析を行った。これらの化石の一部に保存状態の良好な軟組織が含まれていたため、Moysiukたちは、触手のある摂食器官を明らかにすることができた。この摂食器官は、触手冠動物という動物分類群に特有のもので、触手冠動物の現生種としては、腕足動物、箒虫動物などがある。今回の発見は、ヒオリテス類が触手冠動物の一種であり、従来の仮説に示された軟体動物の近縁種ではないことを示している。この研究で、Moysiukたちはヒオリテス類の一種であるHaplophrentisを再構築し、この生物がヘレンズという2本の長く湾曲した構造を用いて胴体を海底から持ち上げていることを明らかにした。
Moysiukたちは、この研究によって長年の古生物学上の論争が決着すると結論付け、特定の分類群の進化史を解明する上で軟組織の保存が重要なことを強調している。
doi: 10.1038/nature20804
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