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アルツハイマー病:β2-アドレナリン受容体の活性化は、γ-セクレターゼ活性を高め、アミロイド斑形成を促進する

Nature Medicine 12, 12 doi: 10.1038/nm1485

アミロイド斑は、アルツハイマー病の特徴であり、重要な原因でもある。γ-セクレターゼの触媒サブユニットであるプレセニリン-1の変異は、アミロイド-β(Aβ)産生やアルツハイマー病の病理発生に影響を与えうる。ストレスのような環境因子はβ2-アドレナリン受容体(β2-AR)などの受容体を介して作用するが、γ-セクレターゼ活性やアミロイド斑形成が、これらの環境因子によって調節されているのかどうか、またどのように調節されるのかは、ほとんど明らかになっていない。本論文では、β2-ARの活性化がγ-セクレターゼ活性を高め、その結果Aβ産生が増加することを報告する。この亢進には、β2-ARとプレセニリン-1の結合が関与しており、また、アゴニスト誘導性のβ2-ARのエンドサイトーシスと、それに続く後期エンドソームおよびリソソームへのγ-セクレターゼの輸送が必要であり、後期エンドソームおよびリソソームでAβ産生が増加した。同様の影響はδ-オピオイド受容体の活性化後にも観察された。さらに、アルツハイマー病のマウスモデルでは、β2-ARアゴニストの慢性的な投与によって、脳のアミロイド斑が増加した。したがって、β2-ARの活性化はγ-セクレターゼ活性とアミロイド斑形成を促進し得る。このことは、アルツハイマー病の病因において、β2-ARの異常な活性化がAβ蓄積の一因となっている可能性を示唆している。

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