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COVID-19:ヨーロッパ系とアフリカ系の患者ではCOVID-19による入院と関連する機構の根底にOAS1のナンセンス変異依存分解による遺伝子調節があることが分かった

Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01113-z

chr12q24.13座位は、抗ウイルスタンパク質であるOAS1~OAS3をコードしていて、これらは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感受性と関連することが知られている。今回我々は、この座位とCOVID-19重症度との関連についての遺伝学的、機能的、臨床的な知見を報告する。ヨーロッパ系(n = 2249)とアフリカ系(n = 835)のCOVID-19入院患者と非入院患者を比較した解析では、COVID-19で入院するリスクは、ありふれたOAS1ハプロタイプと関連しており、pegIFN-λ1を用いた臨床試験では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の除去の低下とも関連が見られた。バイオインフォマティクス解析とin vitro研究からは、リスクハプロタイプを構成する2つの関連OAS1エキソンバリアントの機能的関与が明らかになった。得られたヒト特異的対立遺伝子のrs10774671-Aとrs1131454-Aは、対立遺伝子特異的なスプライシング調節とナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)により、OAS1のタンパク質量を低下させる。従って、ありふれたハプロタイプによるOAS1の発現低下が、COVID-19の重症度に関連していると結論する。我々の結果は、インターフェロンによる早期治療がSARS-CoV-2の除去を加速して重症COVID-19を軽減させる分子機構についての手掛かりを示している。

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