Research Highlights

虹色キンモグラの秘密

キンモグラ類の毛皮には青緑色の光沢が見られるが、こうした虹色に輝く体色は哺乳類では珍しい(キンモグラはモグラの仲間ではない)。アクロン大学(米国オハイオ州)のMatthew Shawkeyたちは、キンモグラ類4種で、虹色に光る上毛と虹色にならない柔らかい下毛を初めて詳細に調べた。すると、虹色の上毛は平たくつぶれた形をしており、その表面にある鱗状のキューティクルが、下毛よりずっと細かいことがわかった。上毛のキューティクルは、明暗の異なる層が交互に重なって多層を形成しており、おそらく、光がそれらの層を通過する際に多層薄膜干渉を起こして虹色に光るのだろう。

 4種のキンモグラはどれも目が見えないので、こうした虹色の毛が異性に見せるための装飾として進化したとは思えない。とすれば、地中に穴を掘る際に、毛皮の摩擦を小さくして耐久性を持たせるよう適応した副産物ではないか、と研究チームはみている。

翻訳:船田晶子

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 5

DOI: 10.1038/ndigest.2012.120526

原文

Glad rags for a blind mole
  • Nature (2012-02-09) | DOI: 10.1038/482134a

参考文献

  1. Biol. Lett. http://dx.doi.org/10.1098/rsbl.2011.1168 (2012)