Research Highlights

なぜ女王バチになるのか

ミツバチでは、女王バチと雌の働きバチは同じDNA配列をもっている。しかし、両者の行動と生殖能力には明らかな差がある。この理由は、完全にというわけにはいかないが、遺伝子発現を変化させるメチル基のミツバチDNAへの付加によって説明することができる。今回、550個を超える遺伝子のメチル化パターンに大きな違いが発見された。その多くは、代謝やRNA合成など、重要な細胞活動に関与する遺伝子だ。

オーストラリア国立大学(キャンベラ)のRyszard Maleszkaを中心とする研究チームは、生殖能力をもつ女王バチと生殖能力をもたない働きバチの脳組織のゲノムを分析し、メチル基の全ゲノム的な分布を明らかにした。その結果、遺伝子から転写されるRNAにスプライシング(ある種の切り貼り)が生じる遺伝子領域にメチル化部位が集中していることがわかった。研究チームは、メチル化がスプライシングのプロセスに影響して異なる遺伝子産物が生じる可能性を指摘している。

翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 8 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2011.110222

原文

What makes a queen bee?
  • Nature (2010-11-17) | DOI: 10.1038/468348a