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運動によって産生される分子が空腹感を失わせる

Lac-Pheが食欲を抑制する
Liと何ら1は、マウスにおいて運動中に血中に放出されるLac-Pheが、食欲抑制、脂肪量減少、体重減少に関与していることを示した。このLac-Pheシグナル伝達がヒトでも同様に機能するならば、より効果のある体重管理ができるかもしれない。ただし、肥満の改善には、今回の成果だけでなく、多面的な戦略が必要である。 Credit: nd3000/iStock/Getty

長時間の運動はエネルギー消費を増加させるが、失われたエネルギーがその後の食物摂取によって補充されなければ、体重減少を促進できる。このほどスタンフォード大学(米国カリフォルニア州)のVeronica L. Liとベイラー医科大学(米国テキサス州ヒューストン)の何洋(Yang He)ら1は、マウスにおいて運動中に血中に放出される代謝産物(代謝物分子)が、その後の食欲を抑制することを見いだし、Nature 2022年6月23日号785ページで報告している。この成果は、運動による生理学的な結果をより深く理解するための道を開く。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 9

DOI: 10.1038/ndigest.2022.220946

原文

Exercise molecule burns away hunger
  • Nature (2022-06-23) | DOI: 10.1038/d41586-022-01321-x
  • Tahnbee Kim & Scott M. Sternson
  • Tahnbee Kimと、Scott M. Sternsonは、共にカリフォルニア大学サンディエゴ校(米国ラホヤ)に所属。

参考文献

  1. Li, V. L. et al. Nature 606, 785–790 (2022).
  2. Jansen, R. S. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 112, 6601–6606 (2015).
  3. Sternson, S. M. & Eiselt, A. K. Annu. Rev. Physiol. 79, 401–423 (2017).
  4. Kleinert, M. et al. Mol. Metab. 9, 187–191 (2018).
  5. Stensel, D. Ann. Nutr. Metab. 57 (Suppl. 2), 36–42 (2010).
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