Obituary

追悼:根岸英一

パデュー大学にて、2年生向けの講義で学生たちに有機化学を教える根岸英一。2010年10月6日撮影。 Credit: BRIAN KERSEY/UPI/ALAMY

炭素原子をつなぎ合わせることは有機分子合成の基本であり、医薬品開発や工業化学に有用な複雑分子の合成には特に欠かせない。2010年、そうした合成を可能にしてきた最も重要な化学反応の3つ(いずれも貴金属のパラジウムを触媒として用いる)の開発者3人がノーベル化学賞を共同受賞した。その1人が、日本人化学者の根岸英一である。彼が開発した「根岸カップリング」と呼ばれるクロスカップリング反応は、現在、製薬業界で用いられている全反応の少なくとも4分の1を占めると推定される。根岸は2021年6月6日、米国インディアナ州インディアナポリスにて、85歳で死去した。

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2021.211016

原文

Ei-ichi Negishi (1935–2021)
  • Nature (2021-07-01) | DOI: 10.1038/d41586-021-01828-9
  • Kit Chapman
  • Kit Chapmanは、化学を専門とする ジャーナリストで歴史家。 彼は2017年に根岸のインタビューを 予定していたが、根岸は代わりに 散歩に出掛けてしまったという。