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物語を描いた人類最古の洞窟壁画か

インドネシアで発見された洞窟芸術の一部分。アノアと呼ばれる小型のスイギュウの傍らに複数の小さな獣人が描かれている。 Credit: Ratno Sardi

インドネシア・スラウェシ島の洞窟の壁に広がる幅4.5mの岩のキャンバスには、武器を手にした人間のような生き物がイノシシや小型のウシ科動物を狩る様子が、赤褐色の顔料で描かれている。物語の一場面のように見えるこの壁画の年代は4万4000年以上前と、これまで物語を表す世界最古の絵画とされてきた欧州の洞窟壁画よりもはるかに古い。今回の研究を共同で率いたグリフィス大学(オーストラリア・クイーンズランド州)の考古学者Adam Brummは、「この地域で何百という岩絵を見てきましたが、狩猟の場面のようなものは今回が初めてです」と語る。人類の芸術表現の歴史を塗り替える可能性のある今回の成果は、Nature 2019年12月19日号442ページで報告された1

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2020.200208

原文

Is this cave painting humanity’s oldest story?
  • Nature (2019-12-11) | DOI: 10.1038/d41586-019-03826-4
  • Ewen Callaway

参考文献

  1. Aubert, M. et al. Nature 576, 442–445 (2019).
  2. Aubert, M. et al. Nature 514, 223–227 (2014).
  3. Aubert, M. et al. Nature 564, 254–257 (2018).