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「顔認識」触媒でSN1反応がエナンチオ選択的に

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180734

原文:Nature (2018-04-26) | doi: 10.1038/d41586-018-04684-2 | Classic reaction re-engineered through molecular face recognition

Tobias Morack & Ryan Gilmour

平面状の反応中間体の片面の特徴だけを認識して作用し、単一の鏡像異性体のみを選択的に生成する触媒が開発された。注目すべきことに、この反応はこれまでこうした選択性を持たないとされてきた機構で進む。

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BSIP/Universal Images Group/Getty

複雑な三次元(3D)構造を持つ分子は日常生活の至る所に存在し、高性能材料からスマート医薬品まで、あらゆる物体でさまざまな機能を発揮している。こうした巨視的スケールの物体で3D形状が機能を左右することが多いのと同様に、微視的な分子でも3D構造が分子の振る舞いを決定する。そのため、特定の応用を念頭に3D分子を構築する際には、最終生成物において各原子が正確に配置されるように合成ルートを開発しなければならない。しかし、原子の配置を精密に制御できたとしても、目的分子が鏡像異性体(エナンチオマー)を有する場合は生成物が鏡像体の混合物となるため、鏡像体同士で特性が大きく異なる際には実際の用途に影響が及んでしまう。そんな中、ハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)の化学者Alison Wendlandtらは今回、単一の鏡像異性体だけを選択的に合成できる(つまり、エナンチオ選択性を有する)画期的な触媒反応を開発した1。しかもこの反応は、通常ならエナンチオ選択性に欠く一分子求核置換反応(SN1反応)機構で進む。この成果はNature 2018年4月26日号447ページで報告された。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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