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脳のアルツハイマー病変を血液で検出可能に!

柳澤 勝彦

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 4 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180424

日本には450万人を超える認知症患者がいて、その7割弱がアルツハイマー病だとされる。他国も同様で、製薬会社はこぞってアルツハイマー病の治療薬やワクチンを開発しているが、失敗が相次いでいる。敗因の1つに「投与するタイミングが遅すぎる」可能性が示唆されている。このほど、国立長寿医療研究センターと島津製作所が中心となり、アルツハイマー病の病変(脳内アミロイドβ蓄積)の有無をごく初期から検出できる血液バイオマーカーを開発した。

Aβが重合して塊を作ると、神経細胞を傷害する。 | 拡大する

JUAN GAERTNER/SPL/Getty

–– アルツハイマー病の病態研究を一貫して続けていらっしゃいます。

柳澤: はい、約30年にわたり研究を続けています。元は神経内科医でしたが、私の外来を受診されたアルツハイマー病の患者さんに何もできなかったことが、研究を始める動機になりました。アルツハイマー病の患者さんは、外見が正常で普通に会話ができる方も多いのですが、少し前のことを思い出せなかったり、生活の中の手順や段取りがうまくできなくなったりします。一方で、幻聴や幻視などを伴うことは少なく、他の認知症とは異なります。

先行研究により、アルツハイマー病はアミロイドβ(以下、Aβ)というタンパク質が発症の20年以上前から脳に蓄積し始め、発症に至るまでに神経細胞やその周囲でさまざまな異常が生じることが報告されています(図1)。ところが、最も重要な「Aβは健康な人の脳でも産生されて血中にも存在するのに、なぜ一部の人の脳にだけ蓄積するのか。それも、認知機能に関わる脳の領域に蓄積するのか」という点が解明されていません。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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