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ゲノム刷込みを維持し高効率にES細胞作製

山田 泰広、山本 拓也、八木 正樹

Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 11 | doi : 10.1038/ndigest.2017.171121

多くの研究室でES細胞を容易に樹立できるようになったのは、培養成分の改良によるところが大きい。2008年には血清の代わりにMEK1/2阻害剤とGsk3β阻害剤を添加する画期的な手法が登場し、均一で質の良いES細胞を高効率で樹立できるようになった。ところが、この手法で樹立したES細胞では、親から受け継いだはずのゲノムインプリンティングが消去されていて、厳密なレベルでの個体発生能を持たないことを、山田泰広・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)教授らは突き止めた。そのうえで、ゲノムインプリンティングを維持したES細胞を高効率に樹立する方法も見いだした。

–– ES細胞のゲノムインプリンティングに着目され、大きな成果を上げられました。

山田: はい。DNAのメチル化に代表されるように、ゲノムは部分的な化学修飾が施されることで、遺伝子発現が抑制されたり、促進されたりといった制御がなされています。このような、塩基配列によらない遺伝子制御の仕組みを「エピゲノム」といいます。私の研究室では、エピゲノムの異常が発がんやがんの進行にどのように関与しているかについて、解明を続けてきました。

例えば2013年には、細胞を中途半端に初期化するとエピゲノムが異常になり、遺伝子に変異がなくてもがん化することをマウスで示しました1。今回は、エピゲノムの1つであるインプリンティング(ゲノム刷込み)がES細胞において正常に保たれているのか、何らかの異常があるとしたらそれがES細胞の分化能とどのように関与しているのかといったことを解析しました2。ウエットな実験を担当したのは、博士課程3年の八木君です。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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