Japanese Author

老化を制御し、予防する

今井 眞一郎

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2016.160121

年齢とともに、体の生理機能が低下する「老化」。私たちはなぜ老化するのか。老化は、どのような仕組みで制御されているのか。その謎を追い続けてきた今井眞一郎教授は、制御の中核となる「サーチュイン遺伝子」の機能を発見し、さらに、脳をコントロールセンターとする組織間ネットワークの働きを研究してきた。「老化の仕組みを科学的に解明することは、病気を効率的に予防する方法を見いだせる最善の道」と今井教授は語る。

図1:哺乳類における老化・寿命制御の組織間コミュニケーションの概念図 視床下部がコントロールセンター、それを調節するのが脂肪組織(モジュレーター)。
視床下部からのシグナルは骨格筋へと伝わり、他の臓器に何らかの作用をもたらす(エフェクター)と考えられるが現在解明中。それぞれの組織でNAD+によるサーチュインの活性化という反応が重要と考えられている。なお、脂肪組織の脂肪細胞内にあるNAMPT(iNAMPT)は血中に分泌されるとeNAMPTとなり、それがNMNの合成を促進する。NMNは脳血液関門を通って視床下部でのNAD+合成を賦活化し、それがサーチュインを活性化すると考えられる。 | 拡大する

–– サーチュインの働きを2000年に発見されたのですね。

今井:1980~90年代は、老化・寿命が遺伝子によって制御されていると分かり始めた時代でした。現在サーチュインと呼ばれる遺伝子が酵母の変異体において発見されていたのですが、その機能は長らく不明でした。

遺伝子による老化制御の仕組みを日本で研究していた私は、同様の研究を進めていたマサチューセッツ工科大学(米国)のレオナルド・ガレンテ教授の研究室に移り、彼と一緒に研究を進めた結果、サーチュインが老化と寿命の制御に極めて重要な役割を果たしていることを発見しました。この成果は、2000年2月、Natureに発表しました1

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

プライバシーマーク制度