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ステライルニュートリノ見つからず

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150206b

中国で進む最新の検出実験は空振り

ニュートリノには電子型とミュー型、タウ型という3つの種類(フレーバー)がある。だが物理学者は、別のフレーバーが存在する可能性があって、それらは奇妙なものだろうと疑っている。他の粒子とほとんど相互作用しない「ステライルニュートリノ」だ。この粒子は物理学の最大の謎のいくつかを解く可能性がある。例えば宇宙に広がって通常の物質を重力で引き寄せているとされる謎の暗黒物質の一部は、ステライルニュートリノなのかもしれない。

だが数十年に及ぶ探索にもかかわらずステライルニュートリノは見つかっておらず、最新の検出実験も空振りに終わった。中国で実施されている国際的なニュートリノ実験「ダヤベイ(大亜湾)ニュートリノ研究」は、7カ月間の探索の末にステライルニュートリノの証拠を何も見つけられなかった。

反電子ニュートリノの変身を追跡

この特別な探索は地下で行われた。ダヤベイのニュートリノ検出器は広東省にある一群の原子炉の地下、さまざまな深さに埋められている。原子力発電所で起こる核分裂反応で多数生成する、電子ニュートリノの反粒子を利用する。

ニュートリノは奇妙なことに「ニュートリノ振動」という過程で別の種類に変身するため、これらの反電子ニュートリノは飛行中に一部が反ミューニュートリノまたは反タウニュートリノに変わり、これらが検出器にぶつかる。反電子ニュートリノのどれだけが他の種類に変わるか概数は理論から分かっているので、最深の検出器で捕捉された反電子ニュートリノが理論計算値より少ないかどうかを見る。もし一部がなくなっていたら、元の反電子ニュートリノがステライルニュートリノに変わったと考えられるわけだ。

そうした行方不明ニュートリノがダヤベイで見つからなかったことで、「この特定のエネルギー領域にステライルニュートリノが存在する余地はなくなりました」と米国立ブルックヘブン研究所の物理学者で同実験に加わっているMilind Diwanは言う。だが、2014年10月Physical Review Lettersに発表されたこの結果が除外したのは質量と特性が一定の範囲内にある粒子だけなので、最終結論はまだ出ていない。現地の物理学者たちは今後、捜索範囲を広げて実験を続ける予定だ。何しろ、ヒッグス粒子探しも最初の30年間ほどは何もつかめなかったのだから。

(翻訳:鐘田和彦)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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