Nature ダイジェスト

Japanese Author

がん幹細胞を正常細胞に変える方法を確立し、がん完治を目指す!

佐谷 秀行

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140618

一貫して、がん幹細胞を対象に研究を続ける、慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門の佐谷秀行教授。今回は、信末博行特任助教らとともに「細胞の形の変化が、その細胞の運命を決める」との、逆説的にも思える成果をもたらした。研究は、治療の難しいがん幹細胞を正常な脂肪細胞へと導く新たな治療法につながる可能性を秘めるという。

図1
線維芽細胞様の脂肪前駆細胞と、脂肪細胞におけるアクチンの状態と分布の違い。線維芽細胞様の未分化な脂肪前駆細胞において、アクチンは細胞中央を縦走する太い直線の線維(ストレスファイバー)を形成している。ところが、分化を開始すると脱重合し、成熟脂肪細胞になったときには、細胞の縁で弧を描くように配置される。

–– Nature ダイジェスト:がん幹細胞とは、どんなものですか?

佐谷:がん幹細胞は、自己複製しつつ、がん細胞の供給源にもなる非常に未分化な悪性細胞です。普通のがん細胞は、化学療法、放射線、分子標的薬などで死滅しますが、がん幹細胞はこれらの治療ではたたくことができないため、がんの完治は難しいのです。

私たちはがん幹細胞を詳細に調べ、そのでき方は、大きく2通りに分けられることが分かりました。1つは、正常な幹細胞そのものががん化したもので、小児がんや血液がんなどで多く見られます。このタイプは一般的な幹細胞の性質をよく保っており、増殖がゆっくりであるために抗がん剤などが効きにくい。もう1 つは、ある程度分化した細胞が長期にわたる炎症を背景にがん幹細胞化したもので、壮年期以降に発症する一般的ながんに見られます。比較的増殖が早いものの、酸化ストレスや抗がん剤に抵抗性を示します。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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