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脳の大きさを制御する、新たな分子メカニズムを解明!

岡澤 均

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2014.141218

ヒトの脳は約1.3〜1.5kgとされるが、容量がこれよりも病的に小さく、知的障害を伴う「小頭症」という疾患がある。神経変性疾患を研究対象にしてきた岡澤均・東京医科歯科大学教授らは、ニューロンの核における機能分子の探索と解析を続ける中でPQBP1という新規タンパク質を突き止め、その異常によりあるタイプの小頭症が引き起こされることを分子レベルで解明した。

–– Nature ダイジェスト:今回の研究成果は、脳の大きさがテーマですね。

岡澤:私は神経内科医で、アルツハイマー病やハンチントン病などの神経変性疾患に興味があり、一貫して分子生物学的手法を用いた検討を続けています。研究を始めた1980年代初頭には、医学部の臨床系に分子生物学がまだ導入されていませんでしたが、幸運なことに、在籍していた東京大学では生化学教室の村松正実先生が転写因子の研究をしておられました。私も研究生として入れていただき、多能性制御因子(Oct-3;Oct-4)の探索や解析を行いました。その後は神経内科に入局し、2003年に東京医科歯科大学に移って現在に至ります。

「ポリグルタミン病」と総称される神経変性疾患では、原因タンパク質中のポリグルタミン配列(CAGの繰り返し配列)の繰り返し数が、通常であれば20回以下であるところ40回以上に伸びて、βシート構造を形成してしまいます。1999年に、ある特定のタンパク質がポリグルタミン配列に結合することを突き止め、「PQBP1(ポリグルタミン配列結合タンパク質1)」と名付けました1。ポリグルタミン病には、原因遺伝子の異なるさまざまな疾患が含まれます。例えば、ハンチントン病や脊髄小脳変性症などです。私たちの成果は、これらの神経変性疾患にPQBP1が関与することを示唆するものとなりました。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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